いじめに就いて2
力を用いることを否定しない父が、卑怯とみなし厳禁したことが五つあった。
- 大勢で一人を殴ること
- 大きな者が小さな者を殴ること
- 男が女を殴ること
- 武器を用いること
- 相手が謝ったり泣いてもなお殴ること
の五つだった。
これら五つの禁じ手は犯すことはもちろんそれを目撃したら絶対に見逃してはいけないと教えられた
卑怯だから、という以外に理由は述べなかった。
─― 藤原正彦(『心に太陽を唇に歌を』)
今はとにかく理屈で言おうとしますよね。さっきやった五つことだってね、何一つ理由なんて何にも無いんですよ。
男が女をぶん殴っちゃいけないって言ったって理由なんて何にも無いですよ。
女ってったね、ぶん殴りたくなるような生意気な女、私の女房を筆頭に山ほどいますからね。
しかしですね。とにかく、問答無用。言語道断でだめなものはだめなんです。
これを叩き込まないといけない。これが重要ですね。
いちいち理屈は何にも言う必要はない。理屈言ったらもうだめなんです。理屈無いんですから。
たとえば大勢で一人をやっつけちゃいかん、って言ったって大勢が清く正しく美しい子供たちと、
一人は性格がひん曲がってて大嘘つきと、みんな一人やっつけても良いじゃないかって、なっちゃいます。
武士道精神から言う卑怯ってのはとんな理由があろうとも大勢で一人をやっつけちゃ、だめなんです。
これをきちんと押しつける、と。
たとえば自分の子供が幼稚園の年長にいると、年少の子をぶん殴った。黙って親は張り倒せば良いんだ。
何の理屈もなく張り倒す。
そうすると子供からすると小さい子供を殴るって事は大変な事なんだ、親が血相変えて飛んできて張り倒すんだ、
これでもう一生いじめは出来なくなりますよ。これを大体9歳くらいまで、一桁くらいまで親は叩き込む。
よくいじめられますと、学校の責任とか人に押しつけますけれど、元々は親の責任。
本当に親が信じている価値観、これは押しつけないといけないんです。
そしてね、長じて別の価値観を子供は発見する可能性はあります。それはそれで良いんです。
しかしまず親の中の本当に正しいと思っている価値観を押しつけると、それは一つの跳躍台になる訳なんです。
それがないとジャンプする事も出来ない訳なんです。
従ってまず、問答無用で、最も重要なことは叩き込む。
http://d.hatena.ne.jp/nakamoto_h/20070514
http://d.hatena.ne.jp/nakamoto_h/20070507
- 作者: 藤原正彦
- 出版社/メーカー: 世界文化社
- 発売日: 2007/03/20
- メディア: 大型本
- クリック: 2回
- この商品を含むブログ (3件) を見る