祖国とは国語である。
本質中の本質は何かと申しますと、初等教育における国語なんです。これの圧倒的充実です。
漢字を徹底的にやって、国語を徹底的にやって、そして、自ら本に手を伸ばす子供を育てる。
これ以外に無いんです。親も先生も教えられなくなって。
そしてその読書物語とか、そしての中で家族愛と郷土愛とか祖国愛とか、
あるいは日本の昔からある美しい情緒とかもののあわれとか卑怯とか惻隠とかそういうものの美しさってのもの
感動の涙とともに自分の胸に吹き入れる。これ以外に手がないんです。
だからこそ、初等教育においては1に国語、2に国語3、4が無くて5に算数と20年間言ってるんです。
美しい自然がどんどん傷つけられてる。田園がね。これも大きいですね。
要するに経済最優先の思想でね。とにかくバブルが弾けて日本人が狼狽しましたけれども、これはもっとも恥ずべき狼狽なんです。
明治維新とか、戦後狼狽したのは、これは仕方がないですよ。しかし、バブル程度で日本がした。そして経済回復のためなら何をしても良いと。
こういう風になった。そういう時、誰かが出てきてたかが経済、と国民を一喝しなかったんです。これが日本を大きく誤った。
この十数年でものすごい勢いで日本の世界に誇る国柄がどんどん潰されていきました。
その中の一つには美しい田園ですね。農民がどんどん痛めつけられて地方が痛めつけられて、そして美しい田園が失われつつある。
美しい田園ってのは飾りじゃないんですから、日本人の美しい情緒。世界に誇るもののあわれとか、美的情緒とか異様に強い、情緒です。
こういうものの源泉なんです。これが滅んじゃったら日本人は日本人じゃなくなってしまう。経済繁栄どころの騒ぎではないんです。
夏彦翁に曰く、
「私達は、ある国に住むのではない。ある国語に住むのだ。祖国とは、国語だ。それ以外の何ものでもない。」
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