NAKAMOTO PERSONAL

空にある星を一つ欲しいと思いませんか? 思わない? そんなら、君と話をしない。

不条理に就いて

久し振りに本屋で書籍を2冊。


『たちの悪い話』(新潮社、バリー・ユアグロー著・柴田元幸訳)、『憑神』(新潮文庫浅田次郎著)


帯から察するに、ぼく好みの“不条理もの”らしい。

以下、帯より。


『たちの悪い話』

  • 毒入り、危険。
  • 小ゾウの涙ぐましい努力までふみにじられる・・・・・・。
  • クセになる、爽快な黒さ。しょうもない世界の私達の物語、43連発!
  • 「この本では、何ひとつうまく行かないんだ」「人生みたいに?(Like life?)」
  • 正義は勝つ、愛は地球を救う、「人間、捨てたんじゃない」と思い込んでいるあなた! あなたの周りは悪意がいっぱい。転ばぬ前にご一読を。


『憑神』

  • 時は幕末、処は江戸。貧乏御家人の別所彦四郎は、文武に秀でながら出世の道をしくじり、夜鳴き蕎麦一杯の小遣いもままならない。ある夜、酔いにまかせて小さな祠に神頼みをしてみると、霊験あらたかにも神様があらわれた。だが、この神様は、神は神でも、なんと貧乏神だった!
  • とことん運に見放されながらも懸命に生きる男の姿は、抱腹絶倒にして、やがては感涙必至。傑作時代長篇。
  • 「この作品は、このように思わぬ損をこうむるとか、逆に、望外の立身出世をするとか、意外の金が転がり込むとか、そういうつまらぬことを、運不運のモノサシとして暮らすことの愚かさを我々に語っているように思われる」



ぼくの聖典、安吾に曰く、

「正しい道化とは人間の存在自体が孕んでいる不条理や矛盾の肯定からはじまる。」

─― 坂口安吾(『茶番によせて』)


たちの悪い話

たちの悪い話

憑神 (新潮文庫)

憑神 (新潮文庫)

 「すべて人間世界に於ては、物は在るのではなく、つくるものだ。私はそう信じています。だから私は現実に絶望しても、生きて行くことに絶望しない。本能は悲しいものですよ。どうすることも出来ない物、不変なもの、絶対のもの、身に負うたこの重さ、こんなイヤなものはないよ。だが、モラルも、感情も、これは人工的なものですよ。つくりうるものです。だから、人間の生活は、本能もひっくるめて、つくることが出来ます。」

─― 坂口安吾(『余はベンメイす』)