NAKAMOTO PERSONAL

空にある星を一つ欲しいと思いませんか? 思わない? そんなら、君と話をしない。

「時間は夢を裏切らない」

松本零士インタビュー『夢は宇宙へ』(1)父の教え『メシ食わざれば力なし』 」(産経新聞)
 → http://sankei.jp.msn.com/entertainments/game/080922/gam0809222028000-n1.htm

 「宇宙戦艦ヤマト」「銀河鉄道999」「キャプテンハーロック」…。漫画家・松本零士さん(70)が描いた、宇宙を舞台にしたSFアニメや映画に熱狂した人は多いだろう。その松本さんがデビューから55年を迎えた。今も、創作意欲は尽きないという松本さんの原点と、宇宙への思いを聞いた。

松本零士インタビュー「夢は宇宙へ」(2)手塚治虫さんとの不思議な縁 」(産経新聞)
 → http://sankei.jp.msn.com/entertainments/game/080922/gam0809222028001-n1.htm
松本零士インタビュー「夢は宇宙へ」(3)ムチャクチャだった少年時代」(産経新聞)
 → http://sankei.jp.msn.com/entertainments/game/080922/gam0809222029002-n1.htm



ぼくも松本零士世代。ハーロックやトチロー、999やヤマトで育ちました。
いまだ近付けもしませんが、トチローはぼくのヒーローです。



『今こそ問う 日本人の志はどこへ行った』より、松本零士さんの言葉。

 「男として自分が信じる道を貫け。みだりに刀の柄に手をかけてはならない。いざというときは最期まで戦え。命よりも名を惜しめ。卑怯な振る舞いはするな」とも教え込まれ、今から見れば何と窮屈な“家訓”だと笑う人もいるでしょうが、我が家は代々こうして生きてきたのだと、私は誇りに思っています。

 自分に意地と誇りと信念があるように、相手にも同じように意地と誇りと信念がある。だからその根底を揺るがすような、お互いのプライドの傷付け合いはするべきではない。子供の頃に“ちゃんとした喧嘩”をしていれば、こうした感性が自然と育つのではないかと思います。

 当時は何か大人たちが少年に対してとても優しかった、甘やかすのではなく、何か夢や志を持っている若者に対しては、力を貸してやろう、見守ってやろうというような空気が濃厚にあった記憶が私にはあるんです。

 「人間は人相風体だけで判断してはならない」ということです。「ボロは着てても心は錦」ということはある。服装がみすぼらしいからと侮るような態度をとろうものなら、親からも学校の先生からもひどく叱られる。そんなことで人を評価してはいけないという大人たちの確固とした価値観があった。

 人間はみな誇りと意地と信念を持っている。それをお互いに認め合うことが真の友情や愛情に通じる。

 バカにされたり、侮られたり・・・そんなとき、私は「明日の俺は今日より強い」という言葉を噛み締めて頑張りました。「今日、俺をバカにしたあのあやじが、俺のこれから続く長い人生にとってどれほどの存在だ。ゴミだと思え!」と、あまり気にしなかった。意地でもそう思ったわけです。

 人間の本質的な価値はこの世に存在した時間の長さや、目に見える富貴とかには関係がない。何をなし得たかが問題で、運命に翻弄されながらもやるだけのことはやった、悔いはないという思いとともに倒れられればそれでいいと思うんです。少なくとも男はそうあるべきだと。

 「不屈の信念」と「風吹かば吹け、我恐れじ」それと、「お互いの誇りと意地と信念を大切にする」

 それぞれの進路に応じて、「歯を食いしばって頑張れ」とエールを送ること。勉強であれ、運動であれ、少年時代のある期間とことん頑張って挑むことなくして、その後の人生を逞しく生きられるでしょうか。大人はその機会を「可哀相」だからと取り除くべきではない。併せて大人たる者は子供の盾となるべきものです。「頑張った時間はおまえの夢を裏切らない。その代わりおまえの夢も時間を無駄にしてはならない」と諭すべきなのです。自分の夢が大事だと思えたら、友達の夢も大事にしようと思うようになるでしょ。そうした相互理解がないところでは誠意も通じ合わない。すべては子供のときからの生活のなかに生じてきます。自ら頑張り、相手も認める。」

 私が今の仕事をしていて気が付いたことの一つは、最初に物事を諦める癖がついたら、何事も絶対に持続しないということです。たとえばあと一年何とか頑張れないかと言っても諦めるという。では次にうまく行くかというと、決してうまく行かない。途中で諦める癖がついてしまうんです。

 「人は生きるために生まれてくるものだ。死ぬために生まれてくるのではない」ということです。さらに、「誰が死にたくて生まれてくるものか」と。それはすべて歴史上の人物、兵士も市民もみんなそうです。戦場に散った若者たちも、誰が死にたくて生まれてきたか。一人もいない。世界中の若者すべてがそうだと。そこに思いをきちんとかけないと、人生に対する解釈がおかしくなる。

 惰眠を貪ってふやけたように見えるいまの日本が、それでも世界から致命的な侮りを受けずに済んでいるのは、戦争末期の非情悲惨な状況下、究極の奮闘死闘を繰り広げて、その“命と死”をもって立ち向かってくれた数多(あまた)の戦したち、日本史上最後のサムライの記憶と残像が、辛うじて面目をささえてくれているのだと信じている。私が描き続けているのは、その彼らの「誠」に報いたいからでもある。

 また若者たちに「時間は夢を裏切らない」と言うのも、自らの意志で自由に使える時間を“命と死”をもって与えてくれた、まさに君たちのおじいさんに当たる、そのとき若きサムライだった彼らに思いを致して頑張れということなのです。

時間は夢を裏切らない。


だから、夢も時間を決して裏切ってはならない

―― 松本零士(『キャプテンハーロック』等より)