NAKAMOTO PERSONAL

空にある星を一つ欲しいと思いませんか? 思わない? そんなら、君と話をしない。

日本が中心的な役割を果たす

「首相、世界3大課題『日本が中心的役割』 米CNNに寄稿 」(日本経済新聞
 → http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM06H0T_W5A600C1NNE000/
「『質のインフラ』サミットで提起へ=CNN論説欄に寄稿-安倍首相」(時事通信
 → http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2015060600077
「安倍首相、インフラ投資でAIIBへの対抗姿勢鮮明に 米CNNに寄稿」(産経新聞
 → http://www.sankei.com/world/news/150606/wor1506060033-n1.html



「世界が直面する3つの大きな課題 安倍首相が寄稿」(CNN.oc.jp)
 → http://www.cnn.co.jp/world/35065543.html

(CNN) 先進国と新興国の双方を含む世界経済の減速は、我々が傍観して経済成長が起きるまで待つことはできないことを気づかせる。むしろ指導者は、政策が世界に与える影響に留意しつつ、継続的に改革とイノベーションを推し進めていかなければならない。
しかし、国際社会が多くの課題に直面する中、我々が優先して取り組むべき事項は何だろうか。そして、その優先事項を実現するために、我々はどのように協力できるのだろうか。これらが、7日からドイツで開催される今年の先進7カ国(G7)首脳会議(サミット)に出席する世界の指導者が直面する大きな問題だ。
サミットでの議論は広範に及ぶだろうが、私がG7で強調したい重要課題は3つある。私はそれらの課題で、日本が中心的な役割を果たすことができると信じている。

気候変動。今年後半に開催される国連気候変動枠組み条約第21回締約国会議(COP21)を前に国際的な枠組み作りが試みられる中、G7サミットは指導者が気候変動に関する戦略を調整する理想的な討論の場だ。私は他のG7諸国に匹敵する目標を設定しようとしている。目標は野心的でもあるが、我々が実行している技術と方法を使えば達成可能だと信じている。
その目標が他のG7諸国の目標に匹敵し、また同様に野心的であるとどうして言えるのか。私はサミットで、2030年までに温室効果ガスを直近の排出量と比べて26%削減(2005年の排出量と比べて25%削減)する目標を提示する。これは、直近の排出量と比較して2025年までにそれぞれ欧州連合(EU)が24%、米国が18~21%を削減すると設定している目標に匹敵する。
実際に、日本の単位GDP当たりのエネルギー消費は他のG7諸国の平均より既に約30%少なく、世界でトップレベルの実績をあげている。我々はそれをさらに良くしたい――2030年までにエネルギー効率の35%改善を目標に――と望む。再生可能エネルギーの利用を増やすことで――現在の太陽エネルギーの能力を7倍に、風力や地熱の能力を4倍に増やすことを含む――これが可能になると信じている。
私は日本の過去の業績に頼ることに満足せず、我々は排出削減に関する具体的な行動に向けて作業を続けていく。気候変動は先進国、途上国を問わず、すべての国にとってますます深刻な問題になっている――いくつかの新興国で、先進国より多くの温室効果ガスを排出しているのを我々は目の当たりにしている――ため、我々が行動を起こすことが重要だ。最大の課題は、中国やインドのような主要な排出国に、自国にとってのこの問題の深刻さを認識してもらい、国際的な枠組みの下で排出量の削減を約束してもらうことだ。
日本はぜい弱な途上国が排出に関して前進するのを支援する。実際、我々は2013年からの3年間で約160億ドルの支援を約束したが、この目標は約1年半で達成した。我々はまた緑の気候基金(GCF)に、米国に次ぐ15億ドルを拠出する。加えて、日本の先進技術の利用を通じて、世界が劇的にエネルギー効率を高め、世界全体の温室効果ガス排出量を減らしていくことを期待する。さらに、私はイノベーション・フォー・クールアース・フォーラム(ICEF)に対して、世界の産業界と学界、政府の協力を通じて、エネルギーと環境の分野におけるイノベーションを促進するように提案した。昨年のICEFの初会合には80カ国から800人が参加し、この成功を積み上げていくために、我々は毎年このフォーラムを開催していく。
美しい惑星を未来の世代に引き継いでいくことは我々の世代の義務であり、日本がこの取り組みで先頭に立つことを私は決意した。

質の高いインフラ。現在と将来の福祉を向上させる質の高い成長を維持するために、発展途上国は質の高いインフラの存在を必要としている。
アジアだけでも、年間約1兆ドルのインフラ投資の必要がある。質を備えた新たなインフラは最初はコストが高く見えるかもしれないが、長い目でみれば、費用対効果がより高く、より丈夫で、自然災害により強く、環境にもより優しいことがわかる。
我々がこの投資に拠出する資金を有していることを保証することは、様々な民間分野の資金を動かすことを意味する。従って、私はアジア開発銀行(ADB)が投資と貸し付けの能力を拡大することを歓迎する。この取り組みを支えるために、国際協力機構(JICA)は、ADBと共同で、アジアの官民連携(PPP)インフラプロジェクトに関して、協調融資を含む効率的な協業のメカニズムを検討する。我々は世界規模で質の高いインフラへの投資を促進する。アジア域内では、日本はADBと共同で、今後5年間で1100億ドル規模の革新的なインフラの資金融資を行う。

健康と医療。最後に、途上国の状況を改善する最良の方法の一つは、健康や医療面の改善をすることだと日本は認識している。我々には世界をリードする医療があり、これに関して優れた位置にいると信じている。
この2年間に、我々はアフリカの女性企業家を、訓練や人脈作りの機会のために日本に招いたほか、モザンビークでは看護師の訓練や、妊娠中の女性や育児中の母親が受ける医療の質の向上に向けて協力してきた。また、世界中の女性が医療や教育にアクセスするのを後押しするために、日本は2013年から3年間にわたる約30億ドルの支援を着実に進めている。
2013年には、日本政府は将来を見据えて、製薬会社やビル&メリンダ・ゲイツ財団とともに、顧みられない熱帯病(NTD)の医薬品の研究開発を促進する基金を設立した。
病気の発生に備え計画することの重要性はエボラウイルスの件で明らかとなった。昨年、日本の医師らがエボラ出血熱で影響を受けた地域に派遣され、約1億7000万ドルがウイルスとの闘いの支援に支出された。また、日本はその先端技術を基礎に、エボラ出血熱の治療を助ける抗ウイルス薬(T―750<ファビピラビル>)を開発し、また日本の大学が開発した迅速診断検査キットを提供した。さらに、東京都が提供した個人防護装備72万セットはアフリカ4カ国に送られ、自衛隊の航空機がガーナに2万セットを輸送した。
私はこれらの投資――健康、インフラ、そして環境分野――の全部が、新興国でも先進国でも同様に各国の状況の改善に役立つと信じる。来年、日本はG7の議長国となる。だがその前に、他のG7諸国の指導者と緊密に連携することで、シュロス・エルマウ・サミットでの成果を踏まえて、これらの全ての重要課題への対応について実りある議論ができると私は期待している。

安倍晋三氏は日本の首相です。記事における見解は同氏のものです。
この記事は米CNN.comに掲載された英文記事を翻訳したものです。


世の中の大抵の問題は我等が武士道を以て解決する事が出来るのである。

 我等は人生の大抵の問題は武士道を以て解決する、正直なる事、高潔なる事、寛大なる事、約束を守る事、借金せざる事、逃げる敵を遂わざる事、人の窮境に陥るを見て喜ばざる事、是等の事に就て基督(キリスト)教を煩わすの必要はない、我等は祖先伝来の武士道に依り是等の問題を解決して誤らないのである。

── 内村鑑三(『武士道と基督教』)