NAKAMOTO PERSONAL

空にある星を一つ欲しいと思いませんか? 思わない? そんなら、君と話をしない。

不条理を生きる。

「新曲『弱い虫』の鉄拳パラパラマンガがこれまた凄いと話題に!! ネットの声『この曲に出会えてよかった』」(ロケットニュース24)
 → http://rocketnews24.com/2012/11/19/268149/

世界的ビッグバンド「MUSE」の公式ミュージックビデオに、自作アニメが採用され、世間の注目を集めたお笑い芸人 “鉄拳”。その現在話題沸騰中の鉄拳が、ある新曲のミュージック・ビデオのアニメーションを担当し、これまた大きな反響を呼んでいる。

今回鉄拳がアニメーションを担当したのは、馬場俊英の新曲『弱い虫』のミュージックビデオ。そこには、これまでの作品と引けをとらないくらい素晴らしいパラパラマンガが収められており、その独特の鉄拳ワールドで見る人を魅了する。

1300コマ以上を使って完成させた今回のパラパラマンガについて、鉄拳本人は以下のようなことを話している。
 
今回はシンガーソングライターの馬場俊英さんの新作「弱い虫」のPVです。ずっと社会問題になっている「いじめ」をテーマにした曲でパラパラマンガの内容もいじめ、冤罪、不条理を描いてます。今まで描いたパラパラマンガの中では1番現実的なテーマなので、馬場さんと直接お会いし綿密な打ち合わせをしました。いじめや冤罪についても映画を観たり自分で調べたり勉強になりました。(「それでもボクはやってない」面白かったし勉強になりました!)今回のパラパラマンガのとらえ方は人それぞれかと思いますが、考えてもらえる事が大事かと思いました。
(「超未来戦士・鉄拳のブログ」より引用)
 
現実的なテーマのもと描かれたというそのパラパラマンガに、現在多くのネットユーザーが心打たれており、動画には以下のようなコメントが続々と寄せられている。

【ネットユーザーからのコメント】
「久しぶりに感動した」
「めっちゃ泣けました」
「鉄拳の才能すげーな…」
「頑張っていても大変な想いをする人はこの世界にはたくさんいるだろうな…涙がでてしまう」
「コレ学校で見せられて…ボロッて…」
「主人公のよわいおとこのひとと俺似てるなぁ」
「悲しいなーこんなやさしい人になりたい」
「号泣しました。この曲に出会えて本当によかった」

人々の胸を打つ様々なメッセージが詰まった今回のミュージックビデオ。お笑い芸人の枠を越え、アーティストとしての才能も開花させ始めた鉄拳は、これから一体どんな作品を世に送り出していくのだろうか? 今後の彼の活躍に目が離せない!


アルベール・カミュの短編に『シーシュポスの神話』というギリシャ神話がある。

神々の怒りをかったシーシュポスは転がり落ちる岩を永遠に運び上げるという刑罰を受けることとなる。

 神々がシーシュポスに課した刑罰は、休みなく岩をころがして、ある山の頂まで運び上げるというものであったが、ひとたび山頂にまで達すると、岩はそれ自体の重さでいつもころがり落ちてしまうのであった。無益で希望のない労働ほど恐ろしい懲罰はないと神々が考えたのは、たしかにいくらかはもっともなことであった。

しかし、それでもシーシュポスは絶望しない。
むしろ、そこに喜びを見いだし、誇りを持って永遠に岩を運び上げ続けるのである。


この世は不条理である。
「頑張れば報われる」とも限らない。
不幸な、不運な自分を百も承知で、それでも生きて行く。
生きるほか、ない。

 ぼくはシーシュポスを山の麓にのこそう! ひとはいつも、繰返し繰返し、自分の重荷を見出す。しかしシーシュポスは、神々を否定し、岩を持ち上げるよりも高次の忠実さをひとに教える。かれもまた、すべてよし、と判断しているのだ。このとき以後もはや支配者をもたぬこの宇宙は、かれには不毛だともくだらぬとも思えない。この石の上の結晶のひとつひとつが、夜にみたされたこの山の鉱物質の輝きのひとつひとつが、それだけで、ひとつの世界をかたちづくる。頂上を目がける闘志ただそれだけで、人間の心を満たすのに十分足りるのだ。いまや、シーシュポスは幸福なのだと想わねばならぬ。

── アルベール・カミュ『シーシュポスの神話』



人間は生きることが、全部である。

── 坂口安吾『不良少年とキリスト』


シーシュポスの神話 (新潮文庫)

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