NAKAMOTO PERSONAL

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サイババ

サイババの執務室から札束と金銀財宝ザックザク」(やや日刊カルト新聞)
 → http://dailycult.blogspot.com/2011/07/blog-post_15.html

 今年4月24日に死去したインドの宗教家サイババの執務室から、多額の現金や貴金属が見つかり、話題になっています。サイババの団体の日本の窓口にあたるサティア・サイ・オーガニゼーション・ジャパンの6月28日付リリースによると、現金だけでも3億円。同リリースでは、これらが「隠し財産」とは認めないまま、「正式な棚卸の上、銀行に預け入れ」、「賦課されるであろう所得税額9500万ルピーを、本日付で前納」したと発表しています。


■現金5億3000万円に金銀財宝

 サイババは、病気を治したり、灰やアクセサリーなどを出現させる「物質化」のパフォーマンスで有名なインドの宗教家。物質化現象はトリックにすぎないと指摘されたり、従者への性的虐待を指摘されたこともあります。今年3月、呼吸器などの不調が元で容態が悪化し、4月24日に死去しました。84歳でした。

 英国テレグラフ紙によると、サイババの死後、執務室から「160万ポンド(約3億円)のルピー紙幣、98kgの黄金、307kgの銀」が発見されたとのことです。サティア・サイ・オーガニゼーション・ジャパン(SSOJ)が発表した6月28日付リリースでは、金銀の財宝の量については書かれていませんが、現金は3億ルピー(約5億3000万円)だと明記されています。


■まだあるの?

 テレグラフ紙は、サイババのアシュラム内部の人物の言葉として、

「警察は、地下倉庫や、サイババが個人的に使用していたリビングの角にあるダミーの天井や壁の中に隠された蓄えの存在を明確に把握している。彼らは、隠された蓄財が実際に見つかったもの以上に多く、おそらく驚異的な量になるだろうと強固に信じている」

 との証言も掲載しています。

 また、インドでは、サイババの団体「サティア・サイ・セントラル・トラスト」のメンバーが自動車で運んでいた350万ルピー(約600万円)の現金を警察に押収されたとも報道されており、これも事実であることをSSOJが認めています。

 テレグラフ紙は、「当初トラストはその兼人の関係を否定したが、その後、それは熱心な信者がサイババ追悼のために寄付したものだと主張した」と書いています。SSOJは、リリースで「何人かの帰依者たちがババ様のお墓を建設するために献金したものであり、献金を行った人々と受領した人の双方が、書面によってそのことを立証しました」としています。


■「悪意のある虚偽の宣伝報道」

 これとは別に現金「5千万〜1億ルピー(約9000万〜1億8000万円)」を押収されたとの報道もあったようですが、SSOJは「まったくの事実無根」と主張しています。

 SSOJのリリースは報道について「誤った報道」「不正確な報道」との主張を繰り返し、最後に「皆様におかれましては、悪意のある虚偽の宣伝報道に騙されることがないようにお願いいたします」と結んでいます。

 が、とりあえず、サイババの死後、彼の執務室から3億だか5億だか、とにかく凄まじい額の現金と金銀財宝が出てきちゃったのは、サイババ団体側も認めている事実。テレグラフ紙は、こう書いています。

【THE TELEGRAPH 2011年07月03日】Indian guru's hoarded riches raise doubts over charitable works

If the Trust hoped that would satisfy the millions of devoted followers who had sent money from around the world in the belief it would be used to spread Sai Baba’s teaching or help educate the poor and treat the sick, it was mistaken. The love and compassion of which he preached gave way to rumours of more treasure hidden away around the sprawling building, of false ceilings and further underground hoards. Meanwhile Sai Baba’s niece, Chetana Raju, claimed she had received death threats for complaining about the search.

インドのグルの隠し財産が、慈善活動のデタラメを露呈させた

サイババの教えを広めたり、貧しい人々の教育や病人の治療を支援するために使われると信じてサイババにカネを送った多くの信者たちを、もしトラストが満足させようと望んだのであれば、それは失敗した。サイババが説いた愛や哀れみは、ダミーの天井やさらなる地下倉庫を持った巨大な建物に、さらに多くのお宝が隠されているのではないかという風聞に取って代わられた。

 慈善事業に使われるはずのお金が、何億円も執務室に貯めこまれてたら、なんじゃそりゃってことになりますね。ちなみに、執務室に残されていた3億ルピーという現金。インドの物価でいうとどんなもんかというと、たぶん日本人ほぼ全員にチャイを1杯ずつ振舞えちゃうくらいの金額ではないかと思います。チャイ、美味いですよね。


■最後の最後に予言が大ハズレ

 テレグラフ紙は、サイババ亡き後の主導権争いにも触れています。サイババが生涯で集めたカネは55億ポンド(7000億円くらい。産経新聞は8000億円以上と報道)にのぼり、100以上の国に1200のセンターがあり、世界中に学校や病院もあるとのこと。この「55億ポンド帝国」をめぐって、サイババの甥、サイババの側近、初期からの支援者だった「ハードロック・カフェ」の設立者アイザック・ティグレット氏が、主導権争いをしているといいます。ディグレット氏は、サイババに7億8000万円くらいつぎ込んだらしいです。

 サイババは84歳で亡くなりました。自身は2020年(2022年との説も)に死ぬと予言していたと言われていますが、予言よりだいぶ早い死でした。

 テレグラフ紙の記事は、彼の死期と、残された人々の主導権闘いを指して、元信者のこんなコメントで締めくくられています。

サイババ自身が予言したのより10年早い彼の死と、この不吉な状況は、彼が全能の神であるという主張がデタラメであるという私の考えが正しかったことを、より一層証明している。私はそのことに満足している」

 地震やテロを予言しておきながら、それが外れると、「オレが予言したから状況が変わった」的な言い訳で予言を修正する宗教家もいたりします。しかし修正できるだけ、まだマシです。自分の死期を予言してそれより早く亡くなってしまうと、修正できないまま「予言大ハズレ確定」です。その上、隠し財産まで発覚して、まさに踏んだり蹴ったりです。

 サイババは死後に再び生まれ変わると予言しているそうです。しかしこの状況で生まれ変わって出てくるのは、ちょっとつらいかもしれません。

裸のサイババ―ぼくたちの外側に「神」をみる時代は終わった。

裸のサイババ―ぼくたちの外側に「神」をみる時代は終わった。