NAKAMOTO PERSONAL

空にある星を一つ欲しいと思いませんか? 思わない? そんなら、君と話をしない。

イタリアの場合

近ごろ、『産経抄』が面白い。


「【産経抄】10月10日」より
 → http://sankei.jp.msn.com/world/china/101010/chn1010100308001-n1.htm

 世界遺産にも指定されている古代ローマのコロシアムが真っ赤にライトアップされた。中国の温家宝首相がイタリアを訪問した記念だそうで、赤はもちろん中国共産党をイメージしたもの。壁面には両国の友好をうたった中国語も浮かび上がった。
 ベルルスコーニ首相は、カネ持ち中国との貿易が大事だと割り切っているのだろうが、なんとも品がない。泉下のカエサルが聞いたら顔を真っ赤にして怒りそうだ。
 コロシアムさえ真っ赤になるのだから、自国のテレビ画面を真っ黒にするのはいとも簡単だ。中国ではNHKやCNNなどをリアルタイムで見ることができるが、服役中の民主活動家、劉暁波氏がノーベル平和賞を受賞したニュースになると、即座に映像が途切れ、画面は真っ黒になった。
 新聞も同じだ。きのうの中国各紙は、劉氏の受賞について「平和賞への冒涜(ぼうとく)だ」と批判した外務省談話のみ載せた。それさえ掲載していない新聞もあり、劉氏がどんな人で、ノーベル賞委員会がどう評価したかといった詳しい記事は一つもなかった。
 なにも中国の記者たちがさぼっているわけではない。優秀で海外事情にも通じている記者やキャスターが何人もいるのに沈黙しているのは、言論の自由がないからだ。すべての報道機関を共産党がコントロールし、重要な問題についてその都度、ガイドラインを設定し、逸脱を許さない。
 小欄が、菅直人首相や仙谷由人官房長官を「腰抜け」呼ばわりしても牢屋(ろうや)にぶちこまれないのは、曲がりなりにも言論の自由があるからだ。中国要人が来日したときに、世界遺産の東大寺や二条城を真っ赤にライトアップするようになれば、この国もおしまいだが。