NAKAMOTO PERSONAL

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『解決済み』を蒸し返すな

「【主張】官房長官発言 『解決済み』を蒸し返すな」(産経新聞)
 → http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/100711/plc1007110301000-n1.htm

 仙谷由人官房長官が東京都内の講演などで、昭和40(1965)年の日韓基本条約について「それだけで物事は済むのか。(日韓関係の)改善に向けて政治的な方針を作り、判断しなければいけないという案件もあるのではないか」と新たな個人補償を検討していく考えを示した。
 日韓基本条約は、韓国に対する日本の戦後処理の枠組みを決めたものである。付属文書の日韓請求権・経済協力協定で、日本は無償供与3億ドルと政府借款2億ドルの経済協力などを約束し、双方の請求権が「完全かつ最終的に解決された」と明記されている。
 法的には、個人補償も含め、韓国との賠償問題はすべて解決しているのである。その解決済みの問題を蒸し返すような発言は、官房長官として適切ではない。
 仙谷氏は「当時の韓国は軍政下だった。法律的に正当性があると言って、それだけでいいのか」とも述べた。確かに、当時の韓国は朴正煕大統領の軍政下だった。だが、国家間の約束は厳然としてある。条約の効力を疑問視する発言は筋違いだ。
 その後、韓国は日本からの5億ドルをインフラ整備などに使い、朴大統領の指導の下で、「漢江の奇跡」と呼ばれる目覚ましい経済発展を達成した。仙谷氏は、こうした韓国の人たちの努力をどうみているのだろうか。

 仙谷氏は新たな個人補償の具体策を示していないが、狙いは「元慰安婦への“賠償”法案ではないか」との指摘もある。民主党が野党時代、国会に出し続けた「戦時性的強制被害者問題の解決促進法案」のことだ。国に元慰安婦への謝罪と金銭支給を求めた法案で、仙谷氏もこれを主導した。
 しかし、これとよく似た制度が村山富市内閣時代の平成7年に発足した元慰安婦への償い事業を目的とした財団法人「女性のためのアジア平和国民基金」(アジア女性基金)である。
 賠償問題が解決済みのため、元慰安婦への「償い金」を民間からの募金で賄い、政府からの拠出金(税金)を医療・福祉支援事業などにあてた。だが、多くの韓国人元慰安婦は「正式補償」でないとして「償い金」の受け取りを拒否し、喜ばれなかった。
 戦後処理問題で、民主党菅直人政権が村山政権と同じ過ちを繰り返さないよう、国民はしっかり監視していく必要がある。

「官房長官、見え始めた『超リベラル』 戦後補償の狙いは慰安婦賠償か」(産経新聞)
 → http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/100708/plc1007082306011-n1.htm
「官房長官、戦後補償に前向き 日韓基本条約は無視」(産経新聞)
 → http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/100707/plc1007072049009-n1.htm


http://d.hatena.ne.jp/nakamoto_h/20100708