NAKAMOTO PERSONAL

空にある星を一つ欲しいと思いませんか? 思わない? そんなら、君と話をしない。

御座る。

「侍言葉が人気 変換サイトでアクセス殺到」(産経新聞)
 → http://sankei.jp.msn.com/economy/it/080216/its0802162038001-n1.htm

 「なんと面妖な」「これは異なことを」。ちょっと堅苦しいはずの「侍言葉」が若い世代で静かな人気を呼んでいる。メールの文章を面白言葉に変換するサイトでは「武士語」にアクセスが殺到し、時代小説に登場する武士の日本語を集めた本がヒットする。遊び感覚ではあるが、失われがちな品格も感じさせてくれる。(海老沢類)
 トランスメディアGPが運営する文章変換サイト「もんじろう」は先月、ユーザーの要望を受けて「武士語」変換を追加した。「あなた→お主」「平社員→平侍」をはじめ「デモ→一揆」「クッキー→南蛮風せんべい」など、投稿で集めた「ちょっとゆるい」約1500語を収める。
 累計変換数は5万回を超え、タレントのルー大柴さんが英語交じりで語る「ルー語」などに大きな差をつけて変換数のトップを快走する。
 シャープも自社製携帯端末向けのダウンロード辞書に、侍言葉252語を収録。最近4カ月間のダウンロード数は「大阪弁とともに上位に食い込む人気」だという。
 メールに面白語を織り交ぜるという福岡市内のIT企業に勤める女性(25)の最近のお気に入りも侍言葉だ。「普段は使わない言葉なのに、どこかなじみがある。知的なイメージがするのも魅力です」

 一方、昨年9月に刊行された『使ってみたい武士の日本語』(草思社)は、著者の野火迅さんが時代小説から200語を選び、現代への応用を提案するユニークな本。武士の精神論にまで踏み込む硬派な内容ながら20〜30代の女性にも好評で、すでに6刷を重ねた。
 今、なぜ侍言葉なのか。日大の田中ゆかり教授(日本語学)は「ギャル語など女性的なものが出尽くした感がある中、侍言葉の重くて男性的なノリが新鮮に映るのでは」と分析する。
 また近年は「戦国無双」「戦国BASARA」といった戦国モノのアクションゲームが人気を呼び、新選組を題材にした少女漫画『風光る』(小学館)を愛読する女子中高生も多い。従来の時代小説や時代劇以外にも侍言葉への“入口”が広がっていることも、ブームを後押しする。
 野火さんは「侍言葉は独特のリズムと品格が魅力。現代でも使える言葉も多いので、教養として正しく知っている大人がもっと増えてほしい」と話している。


 ■使えそうな武士語
・一つまいろう←まずは一杯
・手もと不如意(ふにょい)
  ←当座の持ち合わせがない
・これはしたり←これは驚いた
・それは重畳(ちょうじょう)
  ←大変結構なことだ
・異なこと←また妙なことを
・面妖な←まったく不思議だ
・率爾(そつじ)ながら
  ←突然のことで失礼ですが
・恐悦至極
  ←とてもうれしく思います
 (『使ってみたい武士の日本語』より)


『もんじろう - 言葉・方言変換サイト』 http://monjiro.net/


新選組隊士、吉村貫一郎、徳川の殿軍(でんぐん)ばお努め申っす。一天万乗(いってんばんじょう)の天皇様に弓引くつもりはござらねども、拙者は義のために戦ばせねばなり申さん。お相手いたす!」

―― 浅田次郎『壬生義士伝』