NAKAMOTO PERSONAL

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幽霊の正体

「サンタフェ郡庁舎の監視カメラに『幽霊』、正体は?」(CNN.co.jp)
 → http://www.cnn.co.jp/science/CNN200711110019.html

 米ニューメキシコ州アルバカーキ(AP) 米ニューメキシコ州サンタフェ郡の郡庁舎ni設置された監視カメラに今年6月、不審な物体が映っているのが見つかった。映像はインターネット上で公開され、「幽霊だ」「いやいたずらだ」と論争を引き起こしたが、現地を訪れた専門家が、このほどその正体を割り出した。

 カメラに記録されていたのは、光を放つ小さな物体。木陰に止めた警備車両の前で、ふわふわと宙に浮いているように見える。映像がネットの動画投稿サイト「ユーチューブ」に掲載されると、13万2000回のヒット数を記録し、「ハコヤナギの木の綿毛ではないか」「光の反射のせいだ」など、さまざまな推測が飛び交う騒ぎとなった。

 そこへ登場したのが、心霊現象や超能力などの「超常現象」を専門に調べ、懐疑派雑誌の編集長も務めるベンジャミン・ラッドフォード氏だ。同氏はカメラがとらえた映像を詳しく分析しながら、ひとつひとつの説を検証。「光の反射」説には「太陽の位置がおかしい」と反論し、「いたずら」説も「銃を持った警備要員の目の前で、わざわざ監視カメラに細工をしようとする者はいない」と切り捨てた。

 ラッドフォード氏はやがて、大量のテントウムシを買い込み、カメラのレンズに付けてみる実験を実施。すると、問題の「幽霊」が再現できることが分かったという。同氏は「論理的、科学的な分析と方法論により、レンズに付着した虫が原因と断定された」と発表し、騒ぎは落着した。長年にわたる同氏のキャリアの中でも、「このように明確な答えが導き出せたケースは珍しい」という。



わかってしまうと、テントウムシの動きにしか見えません。



 懐疑精神を身につけるのに、高い学歴がいるわけはない。現に、例えば中古車を買うときには、たいていの人がこの精神を発揮しているではないか。懐疑精神を民主的に使おうと私が言う意味は、さまざまな主張を建設的かつ効果的に調べるための必須の道具として、みんなの道具箱にそれを入れておこうということなのだ。中古車を買ったり、テレビのCMを見て鎮痛剤やビールの品定めをしたりするときには、誰だって懐疑精神のお世話になっている。科学が求めているのも、それと同じくらいの懐疑精神なのである。

―─ カール・セーガン『カール・セーガン 科学と悪霊を語る』