NAKAMOTO PERSONAL

空にある星を一つ欲しいと思いませんか? 思わない? そんなら、君と話をしない。

人生を虫に習う

今朝のフジテレビ『ボクらの時代』(養老孟司・池田清彦・勝村政信)より。
 → http://www.fujitv.co.jp/b_hp/jidai/backnumber/107000001-28.html


虫好きな養老さんのことば。

 だからよく言うんだけど、仕事って自分のためじゃないんだよ。世のため人のためにやってんだよ。自分のためなら虫取ってるっていつも俺言ってんだよ。
 ぼくね、やった方がいい人が随分いると思う。虫取りとは言わないけど、そういう自然のこと、ね。
 ぼく、いつも思うのはね、昭和天皇がそうだったね。おそらく、ウミウシとかあぁいうことやってたでしょ。だからあの方は、あれだけの変転があっても普通の人、って言ったらおかしいんだけど変にならないでいられたんじゃないかと思うの。やっぱりバランスが取れるんでしょうね。
 っていうのは、動物の世界って別に人間の社会じゃないから価値観の上下みたいなものが全くないでしょ。そういう世界がちゃんとあって、しかもみんな生きているじゃないですか。きちんと。先祖代々と。そういうものを時々見ると人間の社会がどんだけひん曲がってのかわかるから...。

 仕事に距離があるってことは冷静であるためには大事なことでしょ。本当にそのことに一生懸命になっちゃって生死の問題になっちゃうと手が震えるようになっちゃって。だから医者が手術の時にね、局所麻酔だと医者が冗談言って笑ってるって怒る患者さんがいるんだよね。でもそうじゃないんだよ、あれ。あんまり緊張すると間違っちゃうんだよね、むしろ。
 だから冗談言って手術やってるくらいの方が距離感がある、つまり余裕があるから間違いが少ないんですよ。患者の方は命がけだと思ってるから冗談なんて言いやがってとかって怒ってるけど全然実は違うんでね、医者が冗談言ってるくらいならば安心しなきゃいけないんですよね。日本の人ってわりかしそういう所真面目っぽいとこあるよね。

 予定通りに人生っていく訳ないんで、もしそれがいくんだったらみんな自分の死ぬ日を知ってるはずでしょ。てめぇの死ぬ一番大事な日もわかってないのになんでそう予定通りしようとするんだよっていつも文句言ってんだよ。途中で死んだらどうすんだよって聞く訳よ。


私の脳はなぜ虫が好きか?

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養老孟司のデジタル昆虫図鑑

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