NAKAMOTO PERSONAL

空にある星を一つ欲しいと思いませんか? 思わない? そんなら、君と話をしない。

吉田松陰

安政6年(1859)10月27日 吉田松陰 没。


会津贔屓、佐幕・公武合体論者のぼくにとって、言わば敵方ではあるが、松下村塾などでの功績には計り知れないものがある。
徳富蘇峰は『吉田松陰』の中で上手く言い当てている。

 彼は多くの企謀を有し、一の成功あらざりき。彼の歴史は蹉跌の歴史なり。彼の一代は失敗の一代なり。然りといえども彼は維新革命における、一箇の革命的先鋒なり、もし維新革命にして伝うべくんば、彼もまた伝えざるべからず。彼はあたかも難産したる母の如し。自ら仕せりといえども、その赤児は成育せり、長大となれり。彼れ豈に伝うべからざらんや。

─― 徳富蘇峰(『吉田松陰』)


士規七則

 一、およそ生まれて人たらば、宜(よろ)しく人の禽獣(きんじゅう)に異なる所以(ゆえん)を知るべし。蓋(けだ)し人には五倫あり、而(しこ)うして君臣、父子を最も大なりと為す。故に人の人たる所以は、忠孝を本とす。
 一、およそ皇国に生まれては、宜しく吾が宇内(うだい)に尊き所以を知るべし。蓋(けだ)し皇朝は万世一統(ばんせいいっとう)にして、邦国の士夫は禄位を世襲し、人君は民を養い以て祖業を続(つ)ぎ、臣民は君に忠にして以て父志を継ぐ・君臣一体、忠孝一致、ただ吾が国のみ然りと為す。
 一、士の道は義より大なるは莫(な)し。義は勇に因(よ)りて行われ、勇は義に因りて長ず。
 一、士の行いは、質実にして欺かざるを以て要と為し、巧詐して過を文(かざ)るを以て恥と為す。光明正大、みなこれより出づ。
 一、人、古今に通ぜず、聖賢を師とせざれば、則ち鄙夫(ひふ)のみ。書を読み友を尚(たつ)とぶは君子の事なり。
 一、徳を成し材を達するに、師恩、友益は多きに居(お)る。故に君子は交遊を慎む。
 一、死して後已(や)むの四字は言簡にして義広し。堅忍果決にして、確乎(かっこ)として抜くべからざるものは、これを舎(お)きて術なり。


吉田松陰』(Wikipedia) http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%90%89%E7%94%B0%E6%9D%BE%E9%99%B0
松下村塾』(Wikipedia) http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9D%BE%E4%B8%8B%E6%9D%91%E5%A1%BE


かくすれば かくなるものと知りながら やむにやまれぬ大和魂

講孟余話 ほか (中公クラシックス)

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