『樅ノ木は残った』
―― 意地や面目を立てとおすことはいさましい、人の眼にも壮烈にみえるだろう、しかし、侍の本分というものは堪忍や辛抱の中にある、生きられる限り生きて御奉公をすることだ、これは侍に限らない、およそ人間の生きかたとはそういうものだ、いつの世でも、しんじつ国家を支え護(もり)立てているのは、こういう堪忍や辛抱、―― 人の眼につかず名もあらわれないところに働いている力なのだ
- 作者: 山本周五郎
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2003/02
- メディア: 文庫
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