NAKAMOTO PERSONAL

空にある星を一つ欲しいと思いませんか? 思わない? そんなら、君と話をしない。

『花を持たせる』

 コラムというものは昨日おこった事件を今日扱うものだと思っている読者がある。私は昨日おこった事件と十年前百年前おこった事件を区別しない。ジャーナリストは相違点をさがすが、私は相似点をさがす。

── 山本夏彦(『冷暖房ナシ』)


道新コラム『卓上四季』が酷い。


もともと酷いが近ごろは特に酷い。


SF、ショートショートの引用に始まり、安倍政権、米国批判。引用に戻って〆る。
水戸黄門よろしく、紋切型のコラム。
半分が引用で半分が政治批判。


翁に曰く「かいつまんで言え」、と。


10月30日『亀が鳴く』
 → http://www.hokkaido-np.co.jp/news/fourseasons/501046.html

安倍政権が意気込む「特定秘密保護法案」なるものが、もしも成立すれば、ジュゴンの“お食事”もウミガメの“お産”も、「国家機密」として闇に葬られかねない。


11月1日『プレイヤー・ピアノ』
 → http://www.hokkaido-np.co.jp/news/fourseasons/501529.html

国内外から非難されても、オバマ政権は、(無人攻撃機の)運用をやめようとしない。相手をいくら殺しても、自国兵士は傷つかないから

10月31日『食道楽』
 → http://www.hokkaido-np.co.jp/news/fourseasons/501299.html

お・も・て・な・し」の心は、ホテルサービスの神髄のはず。それが実は「表無(おもてな)し」で「う・ら・が・あ・る」では、いただけない。

10月29日『善き人のためのソナタ
 →  http://www.hokkaido-np.co.jp/news/fourseasons/500807.html

恥知らずな米国を「善き人」に改心させる電話保留音が欲しい。


これを子供たちに読ませる学校もあるという。
もっとも、まともな子供たちは右から左へ聞き流すだろうから問題はない。
これまた翁に曰く、「子供は大人がみくびるほど鈍くはない。彼らは大人が何を欲するか知っている。」(『編集兼発行人』)のである。

 かいつまんで言う。手短に言う、ほとんど最短距離で言うことに熱中して何のトクがあるのかというとあるのです。読者はずいぶんこみいった話が、こんなにすらすら分るのだから一種の快感をおぼえます。ひそかに自分の頭はいいと思っていたが、案の定よかったと安心します。分かったのではない。分からせたのだからそれは書いたほうの手がらで読んだほうの手柄ではないのですが、そう言うとカドがたちますから言いません。読者の頭がよくなるにまかせます。これを花を持たせると言います。花を持たせて二十なん年になります。

── 山本夏彦(『生きている人と死んだ人』)


誰も書かなかった「反日」地方紙の正体

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コラムばか一代 産経抄の35年 (扶桑社文庫)

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「夏彦の写真コラム」傑作選〈1〉 (新潮文庫)

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