立志尚特異
松陰に曰く、
死して不朽の見込みあらばいつでも死ぬべし
生きて大業の見込みあらばいつでも生くべし
安政6年(1859)10月27日 吉田松陰 没。
会津贔屓、佐幕・公武合体論者のぼくにとって、いわば敵方ではあるが、松下村塾など、彼が人々に与えた影響、功績には計り知れないものがある。
徳富蘇峰は『吉田松陰』の中で上手く言い当てている。
吉田松陰は、関原(せきがはら)の役において、西軍の殿将として、大坂を守り、徳川氏に向かって弓を挽(ひ)ける、毛利家の世臣(せいしん)なり。彼は杉氏の子、出でて叔父吉田氏を続(つ)ぎ、禄五十七石を食む。彼は固(もと)より微禄の士。天保元年八月長門国萩城の東郊に生れ、安政六年十月国事犯罪人として、江戸において首を斬られる。その間僅か三十年、而(しこう)して彼が社会に馳駆(ちく)したるは嘉永四年侯駕(こうが)に扈(こ)して江戸に赴きたるより以来、最後の七、八年に過ぎず。彼の社会的生涯かくに如く短命なり。彼果たして伝うべきものあるか。
曰く、然り。
彼は多くの企謀を有し、一の成功あらざりき。彼の歴史は蹉跌の歴史なり。彼の一代は失敗の一代なり。然りといえども彼は維新革命における、一箇の革命的急先鋒なり。もし維新革命にして云うべくんば、彼もまた伝えざるべからず。彼はあたかも難産したる母の如し。自ら死せりといえども、その赤児は成育せり、長大となれり。彼れ豈(あ)に伝うべからざらんや。
立志尚特異
俗流與議難
不思身後業
且偸目前安
百年一瞬耳
君子勿素餐
立志は特異をたっとぶ
(志を立てるためには人と異なることを恐れてはならない)
俗流はともに議し難し
(世俗の意見に惑わされてもいけない)
身後の業を思はず
(死んだ後の業苦を思い煩うな)
且つ目前の安きをぬすむ
(目先の安楽は一時しのぎと知れ)
百百年は一瞬のみ
(百年の時は一瞬にすぎない)
君子素餐するなかれ
(君子なれば現状に甘んじてはならない)
『吉田松陰』(Wikipedia) http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%90%89%E7%94%B0%E6%9D%BE%E9%99%B0
『松下村塾』(Wikipedia) http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9D%BE%E4%B8%8B%E6%9D%91%E5%A1%BE
『幕末の奇人・吉田松陰から学ぶ「狂うことの大切さ」』 http://matome.naver.jp/odai/2136677037722655201
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