NAKAMOTO PERSONAL

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『86』DEBUT

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「トヨタの新型スポーツカー『86』がデビュー」(webCG
 → http://www.webcg.net/WEBCG/news/n0000025878.html

■ トヨタの新型スポーツカー「86」がデビュー
トヨタ自動車は2012年2月2日、新型スポーツカー「トヨタ86(ハチロク)」を2012年4月6日に発売すると発表した。


■全国のクルマ好きにアピール

かねてより2012年春の発売が予告されていた「トヨタ86(ハチロク)」が、正式に発表された。「古き良き時代の心を受け継ぎ、最新技術を使って新時代のニーズに応えるスポーツカー」とうたわれる、2+2パッケージの2ドアクーペ。2リッター水平対向エンジンを積む、世の走り好き待望の“手頃な”後輪駆動モデルである。

気になる価格は、標準グレードの「G」が241万円/248万円(6MT/6AT)、17インチホイールを履く上級グレード「GT」が279万円/287万円、本革+アルカンターラ内装がおごられた「GT“Limited”」が297万円/305万円となる。さらに、車両本体価格199万円(6MTのみ)と、200万円を切るカスタマイズベース車「RC」をラインナップする。

取り扱いは、レクサス専売店を除く、トヨタの全販売店(トヨタ店、トヨペット店、カローラ店、ネッツ店)。また、発売に際して全国283の販売店に「AREA 86」が設置される。専門スタッフが置かれるここでは、試乗車を用意・展示し、スポーツカー関連情報を発信。「スポーツカー好きが集う大人のたまり場」を目指すという。

またトヨタは「AREA 86」と連携して、全国の峠(!)でのドライビングを楽しむコンテンツやオーナー交流サイトを提供、オリジナル商品の制作も手がける。2013年には、86を使ったワンメイクレースも開催される予定だ。
「スポーツカーカルチャー推進活動」と総称されるメーカー肝いりの運動。オーナーやクルマ好きが自ら盛り上げた、かつての「AE86」人気を再現できるのか!? ニュー86の長期的な販売状況と併せて、注目していきたい。


■重心の低さがポイント

「トヨタ86」は、企画・デザインをトヨタ自動車が、開発実務を富士重工業が担当した。両者の業務提携を象徴する共同開発プロジェクトが、いよいよ日の目を見るわけだ。すでに知られているように、姉妹車の名称は「スバルBRZ」である。

トヨタ86は、スバルの最新型「インプレッサ」より75mm短い2570mmのホイールベースに、全長×全幅×全高=4240×1775×1300mm(アンテナ取り付け部15mm含む。ルーフ高は1285mm)のボディーを載せる。FRの名車とされる「日産シルビア(S13)」と比較すると、ホイールベースは100mm長く、一方、全長は230mm短く、幅は85mm広くなる。前後のオーバーハング(車輪からボディー先端までの部分)が切り詰められた、21世紀のクーペらしいシルエットを採る。

搭載されるエンジンは、2リッター水平対向DOHCユニット。スバル由来のブロックながら、ボア×ストロークを86×86mmのスクエアタイプに変更。燃料のシリンダー内直噴/ポート噴射を使い分ける、次世代のトヨタ製直噴システム「D-4S」を組み合わせた。精緻なコントロールによって「12.5:1」という高い圧縮比を実現し、最高出力200ps/7000rpm、最大トルク20.9kgm/6400-6600rpmを発生。燃料効率を追求することにより、リッターあたり100psの高出力と、JC08モード13.4km/リッターのカタログ燃費を両立させた。

スバル自慢の4輪駆動システムを潔く捨てることで、1998cc4気筒を徹底的に低い位置に搭載。天地を薄くできるボクサーユニットのメリットを、最大限まで引き出すことを狙った。庶民派の86は、世のリッチなスーパースポーツに匹敵する、重心の低さを得たと開発陣は胸を張る。空車時の前後重量配分は、前:後=53:47(2名乗車時)。

トランスミッションは、2種類。コンベンショナルな3ペダルの6段MTは、1〜3速にトリプルシンクロを採用、シフトフィールにこだわったショートストロークタイプ。トルコン式6段ATは、シフトダウン時にエンジンを吹かして回転数を合わせるブリッピング機能を備え、ギア段を固定するマニュアルモードが選べるほか、道路環境に合わせてノーマル、スポーツ、スノーといった走行モードがセレクトできる。
サスペンションは、前:マクファーソンストラット、後:ダブルウィッシュボーン。ブレーキは、4輪ともベンチレーテッドディスクとなる。ホイールは、グレードごとに16、17インチが用意される。


■安く、楽しく、使えるクルマ

トヨタスポーツカーの新しいアイデンティティー「キーンルック」のフロントフェイスが与えられたトヨタ86。超高張力鋼板の多用、剛性に優れる中央がへこんだ“パゴダルーフ”形状の採用、エンジンフードのアルミ化やフェンダーの薄板化などにより、車重は「RC」で1190kgに。パワー・トゥ・ウェイト・レシオ=6kg/ps以下の軽量ボディーを実現した。もちろん空力特性にも配慮され、従来のダウンフォースのみならず、トヨタ86は、上下左右から包まれる「エアロハンドリング」を掲げる。

リーズナブルな価格、実感しやすいFR車としてのファン・トゥ・ドライブに加えて、優れた実用性もトヨタ86の売りである。 ラゲッジルームは、一体可倒式のリアシートを倒すことで容量の拡大が可能。ゴルフバッグなら2個を収納。サーキットでの走行会に通う走り好きが、タイヤを4本積むこともできる。

豊田章男社長肝いりの86プロジェクト。トヨタ-スバルの努力が、大輪の花を咲かせるのか、はたまた打ち上げ花火に終わるのか? 庶民的なスポーツモデルが、いまでも自動車ビジネスとして成立するのか? 今後、トヨタ86の実績が、ひとつの指標になるかもしれない。健闘を期待したい!


『toyota.jp 86』 http://toyota.jp/86/
『SUBARU BRZ』 http://www.subaru.jp/brz/