あふれる本
部屋の片付け中。
翁に曰く、、、
- 本はあんなにあふれているが、本当はあふれてはいない。ただ棚をふさいで、見るべき本の邪魔をしているのである。
- 人は本には金を惜しむ。
- 本というものは、晩めしの献立と同じで、読んで消化してしまえばいいものである。記憶するには及ばないものである。何もかも記憶しようとするのは欲張りである。忘れまいとするのはケチである。
- テレビと漫画が普及して、今後本は売れまいといわれる。私はひそかに喜んでいる。本は忽(たちま)ち百版売れない方がいい。売れなくなれば文字と書物は、本来の面目をとりもどすだろう。
- (古本屋は)本たちの墓場だという。けれども、そこへ足を踏みいれれば、なん十年来、棚に立ちつくしていた本たちは、いっせいに振りむいて、まだ死んでいない表情を示すのである。そして私を無縁の書生と知れば、再びもとに復するけれど、たまには互いに求めいたとわかって、百年の歳月をとびこえることもあるのである。
- 人生は短く本は多い。
- 作者: 山本夏彦,植田康夫
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2003/07
- メディア: 文庫
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