NAKAMOTO PERSONAL

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天罰?仏罰?

nakamoto_h2011-05-15

「『天罰だ!』『原発を止めるな!』幸福の科学がデモ」(やや日刊カルト新聞)
 → http://dailycult.blogspot.com/2011/05/blog-post_15.html

 中部電力浜岡原子力発電所の全原子炉の停止を完了した5月14日、東京・渋谷では、宗教法人幸福の科学を母体とする幸福実現党原発賛成と菅直人首相の退陣を求めるデモを行いました。主催者発表で約2000人の参加者が、代々木公園から渋谷、原宿にかけて練り歩き、「原発はクリーンエネルギーだ!」「天変地異は現政権への天罰だ!」「(菅政権は)放射能漏れより有害だ!」とシュプレヒコールをあげました。


■「原発を止めるな!」

「日本に原発は必要だ!」「原発を止めて、日本経済まで止めるな!」──。

 今年3月11日の東日本大震災で、福島第一原発の原子炉が次々と爆発。水、土、空気を放射能で汚染し、政府は周囲最大約40kmまでを「警戒区域」「計画的避難区域」「緊急時避難準備区域」に指定。首都・東京ですら、「ただちに健康に影響はない」レベルの放射性物質が降り注ぎ、水道水や土壌の汚染が確認されています。5月12日には、東京電力がいまさらながら福島第一原発1号機の“メルトダウン”を認め、14日には、中部電力菅直人首相の要請に従って浜岡原発の全停止を完了しました。

 そんな中、幸福実現党が5月14日に東京・渋谷で敢行したのは、原発賛成デモ。「原発はクリーンエネルギーだ!」「天変地異は現政権への天罰だ!」として、浜岡原発の停止を要請した菅首相の退陣を求めました。


■国民の健康より経済

 デモにあわせて、渋谷駅前で幸福実現党のついき秀学党首が街頭演説しました。

「今回の菅首相による浜岡原発の停止、全く愚かな政策であると考えております。法の支配、法律に乗っ取らない独断的な判断で日本経済を大変な危機に陥れる、そういう政策でごさいます。そもそも浜岡原発を止めるという根拠は、大きな地震が今後30年以内に84%起こるかもしれないと言われております。これをもとに、浜岡原発を止めるという判断をしました。しかし今回事故が起きた福島第一原発、ここでの地震発生の可能性はゼロ%でありました。にもかかわらず震度6強の地震が起き、津波にあって大変な状況を迎えているわけであります。浜岡原発での地震発生84%、これはほとんど意味が無いと思います。84%の浜岡原発が危ないなら、日本全国の原発が危ないんだと思われても仕方ありません」(ついき氏)

 確率ゼロ%だったのに地震が起きたなら、ほかの原発も危ないかもしれないと考えて、何がいけないのかわかりません。ましてや確率84%の浜岡原発が危ないと考えるのは当然でしょう。


原発をなくせば、日本の電力供給はできなくなっていく。省エネというのは素晴らしいことに思えるかも知れませんが、エネルギーそのものを使わないというのがどういうことかというと、この日本経済そのものを縮小させていくということでございます。GDPが減るというのは、皆様方のお給料が減っていくということと全く同じです。この菅政権が続く限り、日本はどんどん貧しくなるしかありません。どうか皆様、そのことにお気づきいただきたいと思います。一日も早い、菅政権の打倒。これがいまの日本にとって最も必要なことであります」(ついき氏)

 要するに、カネのために原発を動かせという主張です。原発が安全であるとか、地震や津波があっても問題なく対処できるとか、そういった主張は、今回のデモや街宣では見受けられませんでした。

 幸福の科学では、原発事故以降、全国の支部などで「放射能被害除去祈願」(奉納目安1万円)という儀式を行っています。原発がクリーンで安全なエネルギーなら、なぜこんな祈願が必要になるのでしょうか。幸福の科学は、言うこととやることが非常にちぐはぐです。


■「天罰だ!」「仏罰だ!」

 幸福実現党は5月12日、デモの事前告知をウェブサイト上で行っています。その際のプレスリリースには、こんな文言が。

幸福実現党 2011年05月12日】『菅首相の退陣を求めるデモ』について
(略)
そもそも、天変地異は単なる自然現象ではなく、その大きな原因は、時の政権、為政者が、神仏の御心に適わないことに求められる。「千年に一度」とも言われる、この度の東日本大震災は、誤てる政治体制への「神罰」「仏罰」であることを、宗教政党の立場から指摘しておきたい。

このまま、この政権が存続する限り、わが国に次々と厄災が訪れ、「日本沈没」が待ち受けていることは必定である。
(略)


 14日のデモでも、幸福実現党は「天罰」「仏罰」などと書かれた大きな横断幕を掲げ、「天変地異は現政権への天罰だ!」と叫びまくっていました。「天罰」という物言い自体、被災者への思いやりを欠いた発言ですが、天罰を盾にして人々を自らの主張に従わせようとする手法は脅迫的ですらあります。

 東日本大震災でも福島第一原発事故でも、被災し避難を余儀なくされた人々の多くは、一般庶民です。福島第一原発敷地内で強烈な放射線に被曝しながら作業にあたっている東京電力の下請業者の人々でさえ、「菅政権」という政治体制の関係者ではありません。

 政治体制に対する天罰が、なぜ衆生の人々に下されるのでしょうか。幸福の科学の神様におかれましては、政権に対する天罰は政権に対して下していただきたいものです。

 いずれにせよ、菅政権への批判と原発賞賛とがなぜごちゃまぜなのか、全く意味がわからないデモでした。