NAKAMOTO PERSONAL

空にある星を一つ欲しいと思いませんか? 思わない? そんなら、君と話をしない。

読書の秋

「【産経抄】(10月28日)より」
 → http://sankei.jp.msn.com/life/trend/081028/trd0810280244000-n1.htm

 読書週間が始まった。若いころ、貧乏で本が買えなかった勝海舟は、もっぱら立ち読みを日課にしていた。函館の回船問屋の主人、渋田利右衛門(りえもん)と出会ったのも、行きつけの本屋だった。
 子供のころから本好きだった利右衛門は、商用で江戸に出てくるたびに、大量に本を買い込んで、地元で公開するのを、楽しみにしていた。2人はたちまち意気投合する。数日後、海舟のあばら家を訪ねた利右衛門は、「書物でも買ってくれ」と、200両を差し出した。
 海舟の談話を集めた『氷川清話』にある有名なエピソードだ。200両といえば、いまの1000万円を優に超えるだろう。海舟の長崎遊学の費用も出した利右衛門は、自分がもし死んでも頼りになる人物として、灘の蔵元、嘉納治右衛門(じえもん)、紀州の豪商、浜口梧陵(ごりょう)らを紹介する。
 治右衛門の息子は、柔道の創始者で、海舟に師事することになる治五郎だ。梧陵は安政南海地震の際、大量のわらに火をつけて避難路を示し、村人を救った「稲むらの火」の物語で知られる。海舟と利右衛門の因縁は、これにとどまらない。
 利右衛門の息子が函館で開いた貸本屋で、読書に目覚めた少女がいた。やがて上京して、海舟が支援していた明治女学校に入学する。そこの教師をしていた島崎藤村と結ばれ、藤村が作家として世に出るのを陰で支えたのが、最初の妻、冬子だ。
 さわやかな秋空に誘われて、きのうは、東京都千代田区の神保町で開かれている古書の青空市に出かけた。東京株式市場は、バブル後最安値をつけたというが、古書店街は大にぎわいだった。こんな時代でもどこかで本好き同士の幸運な出会いがあり、それが歴史を切り開くきっかけになることを、願ってやまない。

「【主張】読書週間 本好きの子供に育てよう」(産経新聞)
 → http://sankei.jp.msn.com/life/education/081027/edc0810270320001-n1.htm
「活字文化の日 本との出会いを大切にしたい(10月27日付・読売社説)」
 → http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20081026-OYT1T00714.htm
「余録:読書週間」(毎日新聞)
 → http://mainichi.jp/select/opinion/yoroku/news/20081027k0000m070093000c.html


さて、何を読むかね。


『社団法人 読書推進運動協議会』 http://www.dokusyo.or.jp/
『読書週間 - Wikipedia』 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%AA%AD%E6%9B%B8%E9%80%B1%E9%96%93

氷川清話 (講談社学術文庫)

氷川清話 (講談社学術文庫)


海舟はもちろん、父親の小吉が面白い。
夢酔独言 他 (東洋文庫 (138))

夢酔独言 他 (東洋文庫 (138))