NAKAMOTO PERSONAL

空にある星を一つ欲しいと思いませんか? 思わない? そんなら、君と話をしない。

環境テロ

善良というものは、たまらぬものだ。危険なものだ。殺せといえば、殺すものだ。

─ 山本夏彦



産経抄より。

 「人質返還に条件をつけるのは、テロリズムの特徴だ。われわれはテロリストグループとは交渉しない」。環境保護団体「グリーンピース」から分かれた米国の団体「シー・シェパード」がホームページで訴えていた。南極海を航行中の日本の調査捕鯨船「第2勇新丸」の乗員たちが、なんとテロリスト呼ばわりだ。

 ▼2人の活動家が無理やり侵入し、1人がガッツポーズを取る映像は何度もテレビで流れた。悪臭をまき散らす薬品入りの瓶を投げつけ、スクリューにロープを絡ませようとするなど狼藉(ろうぜき)を働いたくせに。

 ▼テロリズムとは、政治的な主張を押し通すために暴力を使うことをいう。特に環境保護や動物愛護を旗印にした過激な活動家はエコテロリストと呼ばれ、食肉加工施設やペットショップを襲撃するなど、米英政府を悩ませてきた。

 ▼シー・シェパードは、その「反捕鯨版」といえる。南極大陸の領有権を主張する豪政府は対応に苦慮したようだ。対日関係に配慮を示したものの、先ごろ連邦裁判所が、公海上で国際ルールの下で行われる調査捕鯨を、国内法で違法との判決を下したばかり。テロリストを取り締まるどころか、“お墨付き”まで与えてしまった。

 ▼豪メディアは、「よくやった」と言わんばかりにもてはやす。ひょっとしたら調査捕鯨が中断されるまで、2人は船内に居座るつもりではないかと心配したが、結局豪州側に引き渡された。それでも、シー・シェパードがホームページで並べた嘘(うそ)八百が世界に広まったことが恐ろしい。

 ▼目に余る妨害活動は今に始まったことではない。日本政府が、断固とした措置を取ってこなかったつけがきた。お人よしもほどほどにしないと、テロとの戦いは覚束(おぼつか)ない。

「捕鯨船に劇物投げつけ侵入 『シー・シェパード』は『テロリスト集団だ』」(J-CASTニュース)
 → http://www.j-cast.com/2008/01/16015654.html
「鯨類捕獲調査に対する不法なハラスメント及びテロリズム」(日本鯨類研究所
 → http://www.icrwhale.org/gpandseaJapane.htm



シーシェパード - Wikipedia』 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B7%E3%83%BC%E3%82%B7%E3%82%A7%E3%83%91%E3%83%BC%E3%83%89
『捕鯨問題 - Wikipedia』 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%8D%95%E9%AF%A8%E5%95%8F%E9%A1%8C



山本夏彦かく語りき。(『何用あって月世界へ』

  • 理解をさまたげるものの一つに、正義がある。良いことをしている自覚のある人は、他人もすこしは手伝ってくれてもいいと思いがちである。だから、手伝えないと言われるとむっとする。むっとしたら、もうあとの言葉はあ耳にはいらない。
  • 私は衣食に窮したら、何を売っても許されると思うものである。女なら淫売しても許される。ただ、正義と良心だけは売物にしてはいけないと思うのである。
  • 善良というものは、たまらぬものだ。危険なものだ。殺せといえば、殺すものだ。