NAKAMOTO PERSONAL

空にある星を一つ欲しいと思いませんか? 思わない? そんなら、君と話をしない。

文化とは生き方である。

文化の日

「自由と平和を愛し、文化をすすめる」日。


すすめるべき文化とは何ぞや。

 エリオットは「文化とは生きかたである」といつてをります。一民族、一時代には、それぞれ自分特有の生きかたがあり、その積み重ねの頂上に、いはゆる文化史的知識があるのです。私たちが学校や読書によつて知りうるのは、その部分だけです。そして、その知識が私たちに役立つとすれば、それを学ぶ私たちの側に私たち特有の文化があるときだけであります。私たちの文化によつて培(つちか)はれた教養を私たちがもつてゐいるときにのみ、知識がはじめて生きてくるのです。そのときにだけ、知識が教養のうちにとりいれられるのです。教育がはじめて教養とかかはるのです。
 文化によつて培われた教養と申しましたが、いふまでもなく、教養といふものは、文化によつてしか、いひかへれば、「生きかた」によつてしか培はれないものです。ところで、その「生きかた」とはなにを意味するか。それは、家庭のなかにおいて、友人関係において、また、村や町や国家などの共同体において、おたがひに「うまを合わせていく方法」でありませう。といつて、この方法は、なにも個人個人がめいめいに考へるものではなく、個人が生まれるまへからおこなはれてゐたものなのであります。

─― 福田恒存『日本への遺言』


『文化の日 - Wikipedia』 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%96%87%E5%8C%96%E3%81%AE%E6%97%A5