考える人(2)
ならば、私はこう言おう。考えるということは、残酷なことである。ぐずぐず悩むことに人を甘やかさない、ありもしない慰めで人を欺かない、人生の真実の姿だけを、きちんと疑い考えることによって、はっきりと知るというこのことは、なるほどその意味では残酷なことである、と。
むろん、残酷なる真実を知るよりも、甘たるい悩みに憩っていたい人は、そうすればよろし。人は、自分の望むようにしか生きられないというのも、また残酷な真実であろうからである。
ところで、真実を知ることを残酷だと言えるためには、人は、知られる真実が残酷であるかどうかを、先に知っていなければならないのではなかったか。ただ真実を知ることのみを希(ねが)うなら
さらに、疑え