NAKAMOTO PERSONAL

空にある星を一つ欲しいと思いませんか? 思わない? そんなら、君と話をしない。

権利と義務

「『自分のこと決める権利僕らにも』 条例考えるフォーラム 札幌 【写真】」(北海道新聞
 → http://www.hokkaido-np.co.jp/Php/kiji.php3?&d=20060227&j=0019&k=200602277752

 札幌市が二〇〇六年度の制定を目指す「札幌市子どもの権利条例」について考えるフォーラム(札幌市主催)が二十六日、市内中央区の「かでる2・7」で開かれ、参加した子どもたちが「自分で自分のことを決める権利が僕らにも必要」などと主張し、訪れた約五百人の大人たちを感心させた。

 子どもたちは、自分たちの権利で何が大切と思うかを発表。鈴木健太君(小学五年)は「地域に不審者が出たことを知らずに暗い道を歩くのは怖い。世の中のことを知る権利がほしい」、後藤優佳さん(小学五年)は「親にあれこれ言われず、自分でこうしようと決めることが大切」と、自己決定権の大切さを強調した。


そんな権利は必要ない。

と、敢えて横槍を一つ。



山本夏彦、かく語りき。

  • 先生が子供たちに意見を言わせ、それをディスカッションと称して聞くふりをするのは悪い冗談である。意見というものは、ひと通りの経験と常識と才能の上に生じるもので、それらがほとんどない子供には生じない。
  • 子供たちは互いにおうむ返しだと知りながら、自分の言葉として発言する。それなら大人と同じである。
  • 子供は大人がみくびるほど鈍くはない。彼らは大人が何を欲するか知っている。
  • 権利と義務の両方を覚えさせたければ、権利を一回教えたら、義務を三回教えなければ、もともとおぼえたくないのだから、おぼえない。両方平等に教えたらいいと思うなら、人情の機微を知らないと評されても仕方がない。

http://d.hatena.ne.jp/nakamoto_h/20051116
http://d.hatena.ne.jp/nakamoto_h/20050823






『幼年者心得之廉書』

その一
 毎朝早く起きて、顔や手を洗い、歯を磨き、髪の毛を整え、衣服を正しく着て、父母に朝のご挨拶をしなさい。そして、年齢に応じて部屋の中を掃除し、いつお客様がお出でになってもよいようにしなさい。

その二
 父母及び目上の方への食事の給仕、それからお茶や煙草の準備をしてあげなさい。父母が揃って一緒に食事をする時は、両親が箸を取らないうちは子供が先に食事をしてはいけません。理由があって、どうしても早く食べなければならない時は、その理由を言って許しを得てから食事をしなさい。

その三
 お父さんやお母さんが家の玄関を出入りなさったり、あるいは目上の方がお客様として玄関にみえられた時、お帰りになる時は、お客様の送り迎えをしなければいけません。

その四
 子供が外出をする時は、お父さんやお母さんに行き先を告げ、家に帰ったならば只今戻りましたと、挨拶をしなさい。すべて何事も先ず父母におうかがいをし、自分勝手なことをすることは許されません。

その五
 お父さんやお母さん、それから目上の方と話をする場合は立ちながらものを言ったり、立ったままでものを聞くことはいけません。また、いくら寒いからといって自分の手を懐の中に入れたり、暑いからといって扇を使ったり、衣服を脱いだり、衣服の裾をたぐり上げたり、そのほか汚れたものをお父さんやお母さんの目につく所に置くようなことをしてはいけません。

その六
 お父さんやお母さん、ならびに目上の人の方々から用事を言いつけられた時は、謹んでその用件を承り、そのことを怠らないでやりなさい。なお、自分を呼んでおられる時は、速やかに返事をしてかけつけなさい。どのようなことがあっても、その命令に背いたり、親を親とも思わないような返事をしてはいけません。

その七
 お父さんやお母さんが寒さを心配して。衣服の重ね着をおすすめになったら、自分では寒くないと思っても衣服を身につけなさい。なお、新たに衣服を用意して下さった時は、自分では気に入らないと思っても、謹んで頂きなさい。

その八
 お父さんやお母さんが常におられる畳の上には、ほんのちょっとしたことでも上がってはいけません。また、道の真ん中は偉い人の通るところですから、子供は道の端を歩きなさい。そして、門の敷居は踏んではいけないし、中央を通ってもいけません。ましてや藩主や家老がお通りになる門はなおさらのことです。

その九
 先生またはお父さんお母さんと付き合いがある人と途中で出会った時は、道の端に控えてお礼をしなさい。決して軽々しく行き先など聞いてはいけません。もし、一緒に歩かなければならない時は、後ろについて歩きなさい。

その十
 他人の悪口を言ったり、他人を理由もないのに笑ったりしてはいけません。あるいは、ふざけて高い所に登ったり、川や水の深い所で危険なことをして遊んではいけません。

その十一
 すべて、先ず学ぶことから始めなさい。そして、学習に際しては姿勢を正し、素直な気持ちになり、相手を心から尊敬して教わりなさい。

その十二
 服装や姿かたちというものは、その人となりを示すものであるから、武士であるか、町人であるかがすぐにわかるように、武士は武士らしく衣服を整えなさい。決して他人から非難されるようなことのないようにしなさい。もちろん、どのように親しい間柄であっても、言葉遣いを崩してはいけません。自分より下の者や品のない人間と、同じように見られるようなことをしてはなりません。また、他の藩の人達に通じないような、下品な言葉遣いをしてはいけません。

その十三
 自分が人に贈り物をする時でも、父がよろしく申しておりました、と言い添え、また、贈り物を頂いた場合が、丁寧にお礼を述べながら父母もさぞかし喜びます、と言い添えるようにしなければなりません。すべてに対して父母をまず表に立てて、子が勝手に処理するのではないことを、相手にわかってもらえるようにしなければなりません。

その十四
 もしも、お父さんやお母さんのお手伝いをする時は、少しでも力を出すのを惜しんではいけません。まめに働きなさい。

その十五
 身分の高い人や目上の人が来た時には、席を立って出迎え、帰る時にも見送りをしなければなりません。
 それにお客様の前では、身分の低い人はもとより、犬猫にいたるまで決して叱り飛ばしてはいけません。
 また、目上の人の前で、ものを吐いたり、しゃっくりやげっぷ、くしゃみやあくび、わき見、背伸び、物に寄りかかるなど、失礼な態度に見えるような仕草をしてはいけません。

その十六
 年上の人から何かを聞かれたならば、自分から先に答えないで、その場におられる方を見回して、どなたか適当な方がおいでになっていたら、その方に答えてもらいなさい。自分から先に、知ったかぶりをして答えてはいけません。

その十七
 みんなで集まってわいわいお酒を飲んだり、仕事もしないで、女の人と遊ぶいかがわしい場所に出かけるのを楽しみにしてはいけません。特に男は、年が若い頃は女の子と二人だけで遊びたい本能をおさえることは、なかなか難しいとされています。だからといってそのような遊びを経験し、癖ともなれば、それこそ一生を誤り、大変不名誉な人生を送ることになりかねません。だから、幼い頃から男と女の区別をしっかりし、女と遊ぶ話などしないことが大切なのです。あるいは、下品な言葉を発して周りの人を笑わせたり、軽はずみな行いをしてはいけません。なお、喧嘩は自分で我慢が出来ないから起こるものであって、何事も辛抱強く我慢して喧嘩をしないように、いつも心がけなさい。

会津の子供達には掟があった。「什(じゅう)の掟」である。

「什の掟」


一、年長者の言うことに背いてはなりませぬ


二、年長者にはお辞儀をせねばなりませぬ


三、うそを言うてはなりませぬ


四、卑怯な振る舞いをしてはなりませぬ


五、弱い者をいじめてはなりませぬ


六、戸外で物を食べてはなりませぬ


七、戸外で婦人と言葉を交えてはなりませぬ


ならぬことはならぬものです。


『會津藩校日新館』 http://www.bukeyashiki.com/nisshinkan/n_index.htm
道新の“子ども”表記も気に障るが、今は置いておく。