NAKAMOTO PERSONAL

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無防備の愚

「『無防備地域』宣言 国防協力を拒否? 21自治体、条例化へ署名運動」(Yahoo!ニュース - 産経新聞)
 → http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20051121-00000001-san-pol

 ジュネーブ条約で有事の際に攻撃が禁じられている「無防備地域」の宣言をするよう地方自治体に求める運動が全国に広がりをみせている。これまでに宣言条例が成立した例はないが、確認されただけで二十一区市町で署名活動などが進められている。国の責任で行う防衛行動を自治体が制約することには疑問があるほか、国民や自治体に協力を定めた国民保護法、武力事態対処法に正面から反する問題点も指摘されている。 
 運動が展開されているのは、札幌市、苫小牧市、東京都国立市、神奈川県藤沢市など二十一区市町(判明分)。「宣言すれば平和を確保できる」「武力攻撃を免れることが可能」などの合言葉で戦争不参加や反戦を呼びかけ、自治体に「無防備地域」宣言の条例制定を請求するため署名運動などが進められている。
 すでに全国規模の連絡組織もできており、署名が法定数に達した大阪市、大阪府枚方(ひらかた)市、兵庫県西宮市などでは市議会に条例が提出されている。
 ジュネーブ条約追加第一議定書は「紛争当事国が無防備地域を攻撃することは手段のいかんを問わず禁止する」と規定。敵国の占領や攻撃に対し、抵抗も武装もしない地域を無防備地域とし、敵の無血占領を認め、無条件降伏を宣言することで、消耗戦や敵の不必要な攻撃をやめさせ、住民の無用の犠牲を防ぐのが本来の狙いだ。


無防備地域宣言”という運動が力を持ち始めている。
無防備地域宣言運動全国ネットワーク』 http://peace.cside.to/


無防備地域であることを宣言することによって武力攻撃を免れようとするらしい。武力、戦力の放棄を謳う憲法9条に則った真に正しい運動ではある。


だがしかし、無責任にも程がある。
テロリストからの攻撃も有り得る、万が一の、例えば他国兵器の暴発やヒューマンエラー、ミス発射ということも考えられない訳ではない。
有事、異常事態・非常事態の対応も考えねばならない。


曽野綾子さんは言います。
「透明な歳月の光 『無防備宣言地域の愚』」より。

 こういう発想は、日本人がここまで底抜けに愚かになったか、日本に敵対する国家的思想の謀略が日本で動き出しているかどちらかだろう。
 そもそも、自分が平和的な人間なら、人もそういういい人ばかりだろう、と思うのは、日本以外の国家では、子供でもしない発想である。なぜなら、多くの人は理由なく侵入され、略奪され、放火され、レイプされ、殺される歴史を体験として知っているか、現在もまた同じようなことが行われていることを、子供でも知っているからだ。スーダンのダルフールでは、まさに今日只今、そのような地獄が現実に起きている。

 私の住む東京都大田区もこの運動の中に入っているから、宣言採択のあとはすぐ警察を全面撤退させるといい。空き巣や強盗も宣言があればなくなるかもしれない。ただし、「無防備地域」を宣言した市町村は、異常事態が発生しても一切守る必要はない。それが自己責任の結果と覚悟すべきだ。

ダルフール紛争』(Wikipedia) http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%80%E3%83%AB%E3%83%95%E3%83%BC%E3%83%AB%E7%B4%9B%E4%BA%89



理想と現実を混同してはならない。


吾が聖典に曰く、

 日本人には、理想は理想、現実は現実という複眼的なものの見方がなかなか身についてをりません。自分ははっきりした理想を持っているといふ意識、それと同時に、現実には、しかし理想はそのまま生かせられないから、こういう立場をとるという現実主義的態度、つまり態度は現実であり、本質は理想主義であり、明らかに理想を持っているというのが、人間の本当の生き方の筈です。これは個人と国家を問わず同じ筈です。これをもっと日本人は身につけるべきだと私は思っています。

─― 福田恒存『私の政治教室』


http://d.hatena.ne.jp/nakamoto_h/20050924