NAKAMOTO PERSONAL

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「東京弁護士会vs産経新聞」

「■【主張】土下座報道 児童の人権侵害ではない」(産経新聞)
 → http://www.sankei.co.jp/news/050404/morning/editoria.htm

 小学生が校長に土下座を求めた問題を報じた産経新聞の記事に対し、東京弁護士会は「事実を正確に伝えていない」として、子供の人権に配慮するよう要望した。記事は事実を正確に伝え、子供の人権も侵害していない。

 この問題は平成十二年三月、東京都国立市立第二小学校の卒業式で起きた。産経は「児童30人、国旗降ろさせる」「校長に土下座要求」「一部教員も参加」と報じた。

 東京弁護士会は本紙記事を大筋で認めながら、「30名の児童らが、口々に一斉に集団で校長に対して土下座による謝罪を求めたという事実までは認められない」としている。産経はそんな事実まで書いていない。記事を普通に読めば、児童らが校長に「旗を降ろせ」「基本的人権に反する」などとさまざまなことを言い、その中の興奮した児童が「謝れ」「土下座しろ」と謝罪を求めた事実が分かるはずだ。

 同弁護士会は、本紙報道が「子供の意見表明権の重大な侵害になりかねない」とも言っている。子供の意見表明権は、児童の権利条約に規定されている。しかし、小学生が校長に土下座謝罪を求めるような意見表明権まで認められているとは思えない。子供の権利は大人と同等ではあり得ない。

 この事件をきっかけに、戦後半世紀以上、卒業式や入学式で国旗掲揚と国歌斉唱が行われてこなかった国立市の不適切な教育の実態が明るみに出た。その後、校長や教育委員会の指導により、教育の適正化が進められている。この流れを大切にしたい。

 自民党法務部会で、今国会提出を目指し、人権擁護法案が準備されようとした。人権侵害の定義があいまいで、法務省外局として新設される人権委員会には、立ち入り検査などの権限が与えられていた。危険を察知した自民党若手議員らが反対し、国会提出は見送られる公算が大きいが、成立するようなことがあれば、人権侵害の情報収集を行う人権擁護委員を含め、警察に近い巨大な権力機構が生まれる。

 特定のイデオロギーを持った組織が人員を大量に送り込めば、産経報道が子供の人権侵害にあたるとして摘発される可能性もある。適切な教育や言論の自由まで制限しかねない法案の危険性を重ねて強調したい。

『国立第二小学校事件』 http://www.geocities.co.jp/NeverLand/5533/kunitati-index.htm
(児童及び教職員、保護者が校長に詰め寄ったときのやりとり) http://www.geocities.co.jp/NeverLand/5533/kunitati-2.htm


東京弁護士会』 http://www.toben.or.jp/
『東京都教職員組合』 http://www.tokyouso.jp/





「夏彦語録」

  • 先生が子供たちに意見を言わせ、それをディスカッションと称して聞くふりをするのは悪い冗談である。意見というものは、ひと通りの経験と常識と才能の上に生じるもので、それらがほとんどない子供には生じない。
  • 子供たちは互いにおうむ返しだと知りながら、自分の言葉として発言する。それなら大人と同じである。
  • 子供は大人がみくびるほど鈍くはない。彼らは大人が何を欲するか知っている。
  • 権利と義務の両方を覚えさせたければ、権利を一回教えたら、義務を三回教えなければ、もともとおぼえたくないのだから、おぼえない。両方平等に教えたらいいと思うなら、人情の機微を知らないと評されても仕方がない。