NAKAMOTO PERSONAL

空にある星を一つ欲しいと思いませんか? 思わない? そんなら、君と話をしない。

『どこが海洋保護か』

翁に曰く

「善良というものは、たまらぬものだ。危険なものだ。殺せといえば、殺すものだ。」

── 山本夏彦『何用あって月世界へ』

シー・シェパードの蛮行『どこが海洋保護か』 南極海汚染も」(産経新聞)
 → http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/120503/crm12050314510008-n1.htm

 ぶ厚い鉄塊が付いたローブ、悪臭を放つ酪酸(らくさん)瓶…。海上保安庁が押収した米反捕鯨団体シー・シェパード(SS)の妨害物は、「凶器」そのものだった。これらを初めて南極海から大量に引き上げ、海保が立件に向けて動き出したことは、SSの妨害行為には屈しないという日本の姿勢を改めて示すとともに、SSを事実上擁護する豪州などへの牽制(けんせい)ともなる。

 SSは毎回、日本の調査捕鯨が始まるころに、豪州の港で人員や物資を船に積み込み、南極海に向け出港する。その際、豪州当局は一通りの税関検査を実施するが、SSが「プロップ・ファウラー」(破壊支持者)と呼ぶロープは、凶器と見なさず、押収していない。

 鉄塊やワイヤの付いたロープは、捕鯨船のスクリューに巻き付き船を動けなくさせるばかりか、かじを破壊して航行不能にする。実際、一昨年の捕鯨の際には、ロープがスクリューに絡み、救難信号を出す事態に陥っている。

 南極海は極寒の海で隔絶された海域で、救難信号を出したとしても、付近を航行する船も少ない。最も近い豪州やニュージーランドの救難艇が向かったとしても、数日間はかかってしまう。

 こうした行為は、米国や豪州など100カ国以上が加盟する海洋航行不法行為防止条約に違反する。そもそも、10トン以上の妨害物を海に投げ込む行為自体が、海洋保護の観点から許容されない。豊かな生態系を守るため、南極条約やその議定書には、廃棄物の厳格な規制が明記されている。

 調査捕鯨に携わった乗組員は「SSは曲がりなりにも環境保護団体を名乗っているが、モノを大量に投げ込んで海を汚す行為のどこが環境保護といえるのか」と憤る。

 調査捕鯨を実施している日本鯨類研究所(東京都中央区)は昨年、SSの本部のある米ワシントン州で、妨害差し止めを求める訴訟を起こすなど、法的手段を使う手法に切り替えている。

 仮処分申請は1審で退けられたが、納得できる理由はなく上訴した。ロープなどの大量押収でSSの妨害行為を明らかにすることは、日本側が示す決定的な証拠となり、裁判が有利に傾く可能性もある。

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