NAKAMOTO PERSONAL

空にある星を一つ欲しいと思いませんか? 思わない? そんなら、君と話をしない。

一日一言「礼」

十一月十一日 「礼」


 礼儀はその人の人格に対する尊敬の念から出るものだから、外見のみのものは、実質が伴わない虚礼であって、先方をあなどるようなものである。また、自分の利益のために尽くす礼はへつらいであって、財産の前にひざまずくようなものである。


   善き人と知らば敬ひ慎みて
      その正直を習ふべきなり


   人は人あくまで人を敬へよ
      かねや位はほどほどにして

── 新渡戸稲造(『一日一言』)

[新訳]一日一言

[新訳]一日一言


武士道にも曰く、

 礼の最高の形態は、ほとんど愛に接近する。吾人は敬虔なる心をもって、「礼は寛容にして慈悲あり、礼は妬まず、礼は誇らず、驕らず、非礼を行わず、己の利を求めず、憤らず、人の悪を思わず」と言いうるであろう。

── 新渡戸稲造『武士道』

武士道 (岩波文庫 青118-1)

武士道 (岩波文庫 青118-1)

知恵とは、行動に移す前に考えること

「知恵とは、行動に移す前に考えること」(ライフハッカー
 → https://www.lifehacker.jp/2017/11/171109-wisdom-is-just-thinking-before-you-act.html

米Lifehackerが人生の役に立つ言葉を紹介するシリーズ「Mid-Week Meditations」へようこそ。ストイックな知恵を探求し、それを使って自らを省みて、人生を好転させましょう。

今回は、古代ギリシャの哲学者ヘラクレイトスの知恵を。「暗い人」「嘆きの哲学者」の異名を持つヘラクレイトス(紀元前535年から475年)によると、知恵は意外とかんたんに手に入るようです。

賢くなるには、自分の知性に集中すればよい。それが、物事をどこにでも導いてくれるだろう。


この言葉が意味するもの

ヘラクレイトスの言葉の意味は、とてもシンプルです。

賢くなりたいなら、自分の心の中にある感情的で動物的な声ではなく、理性的で知性的な声に耳を傾けること。この世界を支配し、私たちを最善の道へと導くのは、衝動ではなく知性と理性なのです。


そこから得られるもの

賢い人に「どうやってそんなに賢くなったんですか?」と尋ねると、知恵は幸運で与えられる特別な力ではないという答えが返ってくるでしょう。

つまり、ここで得られる教訓も非常にシンプルです。行動や発言をする前に、考える時間を取るべきということ。

その行為は、あなたや他者に利益をもたらしますか? その言葉は、聞かれるに値するものですか? 他の理性的な声をかき消すだけの、中身のない音節ではありませんか? どんな影響が予想されますか? その結果を、受け入れる覚悟はありますか?

知恵は経験から得られることが多いのは事実ですが、他者の経験から学べることもあります。それは、はじめから避けられるミスは、避けておいたほうがいいということ。敢えてそのミスをしてまで、避けかたを学ぶ必要はないのです。

賢くなりたければ、実行に移す前にちょっと立ち止まり、心の声に耳を澄ませ、よく考えてください。もちろん、日常の些細なことのすべてについて、いちいちメリットとデメリットを考える必要はありません。

とはいえ、行動する前によく考え、理性に耳を傾けることは、長い目で見て害になることはまずありません。知恵は、そこら中に転がっているのです。

ソクラテス以前以後 (岩波文庫)

ソクラテス以前以後 (岩波文庫)

森羅万象が流転する(パンタ・レイ)―ヘラクレイトス言行録

森羅万象が流転する(パンタ・レイ)―ヘラクレイトス言行録

  • 作者: ルチャーノ・デクレシェンツォ,Luciano De Grescenzo,Giovanni Piazza,谷口伊兵衛,ジョバンニピアッザ
  • 出版社/メーカー: 近代文藝社
  • 発売日: 2011/12/15
  • メディア: 単行本
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「日本を信頼」91%

「『日本を信頼』91% 前回から18ポイント増加 外務省のASEAN世論調査」(産経新聞
 → http://www.sankei.com/politics/news/171103/plt1711030021-n1.html

 外務省は3日までに、東南アジア諸国連合ASEAN)10カ国で行った対日世論調査の結果を発表した。日本を「とても信頼できる」「どちらかというと信頼できる」と回答した人は91%に達し、平成27年12月に実施した前回調査の73%から18ポイント増加した。

 対日関係について聞いたところ「友好関係にある」との答えが89%で前回を14ポイント上回った。平和国家としての日本の歩みを「評価する」との回答も88%で6ポイント増えた。

 20カ国・地域(G20)の中で過去50年間にASEANの発展に最も貢献した国・地域(複数回答可)の質問では、日本が55%でトップ。中国(40%)、米国(32%)、韓国(24%)、オーストラリア(23%)が続いた。

 調査は今年3月、ASEAN10カ国の18~59歳の男女を対象に、面接とインターネットを通じて実施。約3千人から回答を得た。

「地球平面説」、信奉者が増加中か

「『地球平面説』、信奉者が増加中か」(財経新聞
 → http://www.zaikei.co.jp/article/20171028/408359.html

あるAnonymous Coward曰く、 今年2月、米プロバスケットボールリーグNBAに所属するカイリー・アービング選手が「地球は平ら」と発言したことが話題になった(NBA Japan)。また、ラッパーのB.o.Bは地球が平らであることを確認するために人工衛星を打ち上げる、として先月からGoFundMeで100万ドルの寄付を募っている(The Verge)。その後アービング選手は地球が平らなことを信じていないと釈明しているが(The Ringer)、これ以外にも地球が丸いことを信じていない人は今でも少なくないという。

 こういった炎上・売名・詐欺狙いの発言は一定数あると思われるが、特にイスラム圏で地球平面説を公然と提唱するケースが相次いでいる。

 チュニジアでは、博士課程の学生が5年をかけて書き上げた地球平面説の博士論文を提出し、2つの査読のうち1つをパスしていたが、幸運にもこの件がチュニジア天文学会の前会長に漏れたため、すんでのところで博士号授与が見送られた。彼女の指導教官だった教授がこの件に関与していることは明らかで、問題は根深い(GULF NEWS)。

 また、トルコのエルドアン大統領を支持する右派政党の青年部代表トルゲイ・デミルは、今年の9月1日に地球平面説を党の公式サイトに掲載した(AL-MONITOR)。

 彼らの主張によると、NASAの写真は切れ目の部分が不自然に加工されており、背後にはフリーメイソンの暗躍があるという。

 インドネシアでは、インドネシア国立航空宇宙研究所(LAPAN)の所長が自ら球体説についての講義を行う事態となったが(講義動画その続き)、それでも収まらずに地球平面説信奉者が研究所や職員のSNSに半年以上粘着行為をして「占拠状態」だという(Straits Times)。

 余談だが、日本や欧米では中世ヨーロッパの「地球平面説という神話」がはびこっているが、コロンブスの頃でも現代と変わらず球体説が常識だった。キリスト教世界においてもローマ法王が地球儀を設計したりしたほか、ザビエルが日本に大地球体説を伝えたのもガリレオ裁判より1世紀早い。革新的だったのはアリスタルコス・コペルニクスの地動説であるが、両者は混同されてしまっている。

 少なくとも日本の庶民階級は江戸時代でも球体説に馴染みがなく、戦国時代の宣教師は長崎でサクロボスコの天球論(天動説+球体説)の講義をしていたのが明らかになっている(平岡隆二著:ゴメス「天球論」の成立と構成)。

奇妙な論理〈1〉―だまされやすさの研究 (ハヤカワ文庫NF)

奇妙な論理〈1〉―だまされやすさの研究 (ハヤカワ文庫NF)

奇妙な論理〈2〉なぜニセ科学に惹かれるのか (ハヤカワ文庫NF)

奇妙な論理〈2〉なぜニセ科学に惹かれるのか (ハヤカワ文庫NF)

 信じやすい人というのは、奇妙なことがらを信じることに無上の喜びを見出すものだ。しかも、奇妙であればあるほど受け入れやすいときている。ところがそういう人は、平明でいかにもありそうなことがらは重んじようとしない。というのもそんなものは誰でも信じることが出来るからだ。

── サミュエル・バトラー(『人さまざま』)

カール・セーガン 科学と悪霊を語る

カール・セーガン 科学と悪霊を語る

悪霊にさいなまれる世界〈上〉―「知の闇を照らす灯」としての科学 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)

悪霊にさいなまれる世界〈上〉―「知の闇を照らす灯」としての科学 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)

悪霊にさいなまれる世界〈下〉―「知の闇を照らす灯」としての科学 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)

悪霊にさいなまれる世界〈下〉―「知の闇を照らす灯」としての科学 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)

一日一言「口は禍のもと」

十一月七日 口は禍のもと


 口は禍のもととは、古くからの格言であるが、たとえ自分を犠牲にしてでも、自分に確信があるのならば、言うべきことはいわなければならない。もし、確信を持てない言葉、ことに他人の身の上に関する言葉は、簡単に口に出すものではない。


   沸きかへる胸に剣をおしあてゝ 言ひたきことを暫し止めよ

   かりそめの言の葉草に風立ちて 露のこの身のおき所なき

── 新渡戸稲造一日一言


ある旅人を評して曰く、

 沈黙を守っているひとには、だれもが、尊敬の念をおぼえるものです。たくさんのことを知っていそうだし、なにより、とびっきりかっこいい生き方をしていそうだから、です。

── (『ムーミン谷の仲間たち』

「武士の国」にやってきた大統領

「我等は人生の大抵の問題は武士道を以て解決する、正直なる事、高潔なる事、寛大なる事、約束を守る事、借金せざる事、逃げる敵を遂わざる事、人の窮境に陥るを見て喜ばざる事、是等の事に就て基督教を煩わすの必要はない、我等は祖先伝来の武士道に依り是等の問題を解決して誤らないのである」

── 内村鑑三(『武士道と基督教』)


「【産経抄】「武士の国」にやってきた大統領 11月6日」(産経新聞
 → http://www.sankei.com/column/news/171106/clm1711060003-n1.html

 ブッシュ元米大統領は、今もどこかに自分の似顔絵を飾っているだろうか。平成14年に初来日したとき、当時の小泉純一郎首相からお土産として贈られた。

 ブッシュ氏は滞在中、明治神宮流鏑馬(やぶさめ)を見学している。似顔絵は、その流鏑馬でブッシュ氏が弓を引いている図柄だった。小泉氏から絵の制作を依頼された山藤章二さんには、ひとつ後悔がある。

 ジョージ・ブッシュの語呂合わせで「常時武士」と文字を入れる「遊び」を入れられなかった。「サムライのように毅然(きぜん)として勇ましい男」「刀を抜きたくてうずうずしている男」。文字の意味は、好きなように受け取ればいい(『論よりダンゴ』岩波書店)。

 トランプ米大統領が、いよいよ日本にやってきた。小泉・ブッシュ同様に、安倍晋三首相とトランプ氏は、すでに深い信頼関係を築き上げている。トランプ氏は、日本を「warrior nation」(武士の国)と呼ぶ。真意は不明である。「武」の文字は言うまでもなく、雄々(おお)しさ、あるいは戦いの力を意味している。

 もっとも、古代中国の歴史書によれば、ある国の王が戦いにはやる家臣をたしなめる際に、「武」の文字が使われた。「武」を分解すれば、武器を表す「戈(ほこ)」を「止める」と書くではないか、というのだ。漢字の研究者によれば、間違った解釈らしい。それでも、現在の世界情勢を見渡せば、王の言うとおり、「武」には平和を願う気持ちがこめられている、と信じたい。

 北朝鮮の核・ミサイルと中国の覇権主義は、日本いや世界に向けられた「戈」である。それらを止めるための「武」として、日米同盟が存在している。今回のトランプ大統領の初来日は、同盟を盤石なものとする絶好の機会である。

「トランプ氏、『武士の国』日本を支持 北朝鮮放置に警告」(CNN.co.jp)
 → https://www.cnn.co.jp/usa/35109869.html
「トランプ氏、対北で『武士の国』日本が動く可能性を中国に警告」(AFPBB NEWS
 → http://www.afpbb.com/articles/-/3149247


論よりダンゴ

論よりダンゴ

代表的日本人 (岩波文庫)

代表的日本人 (岩波文庫)

武士道 (岩波文庫 青118-1)

武士道 (岩波文庫 青118-1)

『君主論』

「理想主義ではなく現実主義であれ。哲学者マキャベリから我々が学べること」(ライフハッカー
 → https://www.lifehacker.jp/2017/11/171103-deal-with-the-real-world-not-the-ideal-world.html

ルネサンス時代の哲学者、ニッコロ・マキャベリは、著書『君主論』において、こんな言葉を残しています。

理想を追いかけて現実に目を向けない者は、長続きせず、やがて滅びるだろう。

意味

マキャベリは、『君主論』において、権力を行使・維持するための容赦のない実際的なアプローチをすすめています。一見道徳に反する行為も、国の大義のためにはやむを得ずというスタンスです。上で引用した文は、同書の中盤に登場し、さらに有名なマキャベリの教訓の基礎を成しています。

彼のもっとも有名な格言は、「愛されるより恐れられろ」でしょう。なぜ、恐れられる必要があるのでしょうか。完全に理想的な世界なら、誰もがお互いに善意を尽くして生きられるでしょう。でも現実は違います。人々は、ネガティブな結果を恐れない限り、他者をおとしいれようとするのです。その意味で、恐怖は、殺人からマナー違反にいたるさまざまな反社会的行動の抑止力になります。

たとえあなたが純粋に無私を貫いたとしても、どこかで私欲のある人に騙され、ズタズタにされるのがオチです。そうなると、あなたに依存している人々まで傷つくことになります。自分自身が素晴らしい人生を送ると同時に、守りたい人がいるなら、自力で何とかしなければならないのです。そのためには、冷酷にならなければならないときだってある。そうマキャベリは言いたかったのではないでしょうか。


得られる教訓

マキャベリの真意については、学者の間でも意見が分かれています。本気だったという意見があれば、独裁を風刺あるいは妨害していた、または支配者の非道徳的行為をあらわにすることで抑圧された人々を扇動していたとする見解もあります。いずれにしても彼のアドバイスは、理想主義ではなく現実主義であれという意味で正しいといえるでしょう。リアルワールドで先に進むには、理想ではなくありのままの現実に目を向けなければならないのです。

たとえば職探し。すべての仕事は最適な志願者のもとに渡り、履歴書があなたの価値を証明してくれると思いたい気持ちはわかります。でも現実には誰かの推薦でもない限り、あなたの履歴書など読まれないことだってあるのです。不公平だとわめくのか、友達の友達を見つけて何とか面接にこぎつけるのか。どっちのほうが仕事を得られると思いますか?

いえ、理不尽なことに声を上げるのが無駄だと言っているのではありません。ただ、労働者の権利と呼ばれるもののほとんどは、労働組合や活動家が戦って勝ち取ったもの。上司らが善意で歩み寄って権利を差し伸べてくれたのではなく、労働者が手を組み、要求をのむまで働かないと主張したため、政治家が対応せざるを得なかったのです。

世の不条理を受け入れることは、失意と疲労をもたらすかもしれません。でも、「こうあるべき」という理由だけで物事が動くのをのんきに待つのは、もっと疲れます。なぜならこの世のほとんどのことは、あるべき通りには動かないから。それを変えるための時間など、我々にはほとんどありません。ですから、理想の世界への希望は捨てずに、それでも物事を前に進めるための、バランスを見つけることが重要なのです。

君主論 (岩波文庫)

君主論 (岩波文庫)

きびしい社会を生き抜く人になる! こども君主論

きびしい社会を生き抜く人になる! こども君主論

 わたしがここに書く目的が、このようなことに関心をもち理解したいと思う人にとって、実際に役立つものを書くことにある以上、想像の世界のことよりも現実に存在する事柄を論ずるほうが、断じて有益であると信ずる。
 古今東西多くの賢人たちは、想像の世界にしか存在しえないような共和国や君主国を論じてきた。しかし人間にとって、いかに生きるべきかということと、実際はどう生きているかということは、大変にかけ離れているのである。
 だからこそ、人間いかに生きるべきか、ばかりを論じて現実の人間の生きざまを直視しようとしない者は、現に所有するものを保持するどころか、すべてを失い破滅に向かうしかなくなるのだ。
 なぜなら、なにごとにつけても善を行おうとすることしか考えない者は、悪しき者の間にあって破滅せざるをえない場合がおおいからである。
 それゆえに、自分の身を保とうと思う君主(指導者)は、悪しき者であることを学ぶべきであり、しかもそれを必要に応じて使ったり使わなかったりする技術も、会得すべきなのである。

── 『君主論』(塩野七生マキアヴェッリ語録』)

マキアヴェッリ語録 (新潮文庫)

マキアヴェッリ語録 (新潮文庫)