「武士の国」にやってきた大統領
「我等は人生の大抵の問題は武士道を以て解決する、正直なる事、高潔なる事、寛大なる事、約束を守る事、借金せざる事、逃げる敵を遂わざる事、人の窮境に陥るを見て喜ばざる事、是等の事に就て基督教を煩わすの必要はない、我等は祖先伝来の武士道に依り是等の問題を解決して誤らないのである」
── 内村鑑三(『武士道と基督教』)
「【産経抄】「武士の国」にやってきた大統領 11月6日」(産経新聞)
→ http://www.sankei.com/column/news/171106/clm1711060003-n1.html
ブッシュ元米大統領は、今もどこかに自分の似顔絵を飾っているだろうか。平成14年に初来日したとき、当時の小泉純一郎首相からお土産として贈られた。
ブッシュ氏は滞在中、明治神宮で流鏑馬(やぶさめ)を見学している。似顔絵は、その流鏑馬でブッシュ氏が弓を引いている図柄だった。小泉氏から絵の制作を依頼された山藤章二さんには、ひとつ後悔がある。
ジョージ・ブッシュの語呂合わせで「常時武士」と文字を入れる「遊び」を入れられなかった。「サムライのように毅然(きぜん)として勇ましい男」「刀を抜きたくてうずうずしている男」。文字の意味は、好きなように受け取ればいい(『論よりダンゴ』岩波書店)。
トランプ米大統領が、いよいよ日本にやってきた。小泉・ブッシュ同様に、安倍晋三首相とトランプ氏は、すでに深い信頼関係を築き上げている。トランプ氏は、日本を「warrior nation」(武士の国)と呼ぶ。真意は不明である。「武」の文字は言うまでもなく、雄々(おお)しさ、あるいは戦いの力を意味している。
もっとも、古代中国の歴史書によれば、ある国の王が戦いにはやる家臣をたしなめる際に、「武」の文字が使われた。「武」を分解すれば、武器を表す「戈(ほこ)」を「止める」と書くではないか、というのだ。漢字の研究者によれば、間違った解釈らしい。それでも、現在の世界情勢を見渡せば、王の言うとおり、「武」には平和を願う気持ちがこめられている、と信じたい。
北朝鮮の核・ミサイルと中国の覇権主義は、日本いや世界に向けられた「戈」である。それらを止めるための「武」として、日米同盟が存在している。今回のトランプ大統領の初来日は、同盟を盤石なものとする絶好の機会である。
「トランプ氏、『武士の国』日本を支持 北朝鮮放置に警告」(CNN.co.jp)
→ https://www.cnn.co.jp/usa/35109869.html
「トランプ氏、対北で『武士の国』日本が動く可能性を中国に警告」(AFPBB NEWS)
→ http://www.afpbb.com/articles/-/3149247
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