一日一言「水は濁るもの」
五月四日 水は濁るもの
人の欠点を責める必要はない。人の過ちはしゃべるものではない。人の醜い行いをあばくのは愚かなことで、臭いものには蓋をして、自然の力に任せておけば、臭気はいつの間にかに消える。急いで臭気を消したいときは、防臭剤を用いればよいが、それでも蓋をしたままでおくにこしたことはない。
をりをりは濁るも水の習ひぞと
思ひ流して月はすむらん
お千代さんに曰く、
悪口を言わない、ということは、そう難しいことではない。悪口を言うと、気持ちが悪い。私はただ、気持ちの悪いことはしないだけなのだ。
── 宇野千代 (『行動することが生きることである』)