小林秀雄
理想や真理で自己防衛を行うのは、もう厭(いや)だ、自分は、裸で不安で生きて行く。そんな男の生きる理由とは、単に、気絶する事が出来ずにいるという事だろう。よろしい、充分な理由だ。他人にはどんなに奇妙な言草(いいぐさ)と聞こえようと自分は敢えて言う、自分は絶望の力を信じている、と。若(も)し何かが生起するとすれば、何か新しい意味が生ずるれば、ただ其処からだ。
昭和58年(1983年)3月1日 小林秀雄 没
『小林秀雄 (批評家) - Wikipedia』 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B0%8F%E6%9E%97%E7%A7%80%E9%9B%84_%28%E6%89%B9%E8%A9%95%E5%AE%B6%29
小林さんは極く素直な人だつたのであり、こちらが素直に対すれば、小林さんも亦素直に応じてくれる人だつだと信じてをります。それにもかかはらず私は物を書く時、それがどんな些細なものであれ、小林さんの鋭い眼を意識せずにはゐられませんでした。時折、私の右肩越しに後ろから私の文章を見つめてゐる鋭い眼光を実感するのです。時には敢へてそれを振切り、全くその存在を忘れて暴走して見ますが、そんな時に限つて、これを小林さんに見られたら何と言はれるかなと、必ず心の引緊る思ひがしたものです。
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