NAKAMOTO PERSONAL

空にある星を一つ欲しいと思いませんか? 思わない? そんなら、君と話をしない。

「論法は的外れ。知識人が冷静な警告を」

「SEALDs(シールズ)…デモに走る若者「論法は的外れ。知識人が冷静な警告を」日本国際大・先崎彰容教授」(産経新聞
 → http://www.sankei.com/west/news/151127/wst1511270084-n1.html

 奈良「正論」懇話会の第63回講演会が27日、奈良市奈良ホテルで開かれ、東日本国際大学の先崎彰容(あきなか)教授が「若者たちの『政治の季節』-国会前デモを考える」をテーマに講演し、「(学生グループ)SEALDs(シールズ)のような、不況や雇用不安から虐げられていると思っている若者がデモに走り、自分は正しいと考えて批判をしている。知識人はこういう現代社会に冷静な警告をしなければならない」と主張した。


■不景気の世代…「自分たちは虐げられてる」「劣等感がデモに」

 先崎氏は、パリ同時多発テロを例に挙げ、「フランスやベルギーのような豊かな国の若者が、自分の国を壊すようなテロをなぜ起こすのか。彼らの心の中にあるものが、日本でデモに参加した若者の中にもあるのではないか」と指摘。その上で、今の日本の若者を「景気が上り調子だった上の世代と比較して、自分たちは虐げられていると思っている」とし、「こうした劣等感がデモにつながっている」と分析した。

 また、東日本大震災以降に起きた集団的自衛権や沖縄基地問題反原発をめぐるデモについて、「国や原発のような罵倒し批判すべき対象を手に入れた若者が、『認めてもらいたい』『繋がりをもちたい』という思いでデモに走り、自分が正義だという思いで批判をしている」と説明。

 「自分たちは平和を目指している。そうでない法案を通そうとしている安倍首相は悪だという彼らの論法は的外れだ」と断じ、「武力を放棄して権力の空白が生じれば、そこを支配したい勢力同士の戦争が起きる。どうすれば平和になるかを考えるプロセスが若者にはない」とした。

 そして、「知識人は時代を診る医者としての役割を持っている。現代社会に対して冷静な警告という処方箋や薬を出して、調子を整える良医にならないといけない」と述べた。

デモの多くは、良心からでも正義のためからでもなく、世の中の不満や劣等感といった“ルサンチマン”から始まる。
「正義の主張は犯罪と心得べし」
卑屈な”ルサンチマン”を越え、超人たらんことを。

 民主主義政治の原理は、自分が独裁者になりたくないという心理に基づいているのではなく、他人を独裁者にしたくないという心理に基づいているのである。一口に言えば、その根本には他人に対する軽蔑と不信と警戒心とがある。
 そうと気づいてもらえば、「正義の主張は犯罪と心得べし」という私の忠告は極く素直に受け入れられるだろう。愛の陰には色情があり、正義の陰には利己心がある。反省の篩(ふるい)にかければ、愛や正義の名に値するものはめったにないことになる。それがどういうわけか、今日の日本では、民主主義だけが篩(ふるい)の目を逃れ、ほとんど唯一の禁忌(タブー)にまで昇格してしまっている。敵も味方もそれを旗印にする。民主主義の名の下に暴力を犯し、あるいは暴力を犯してそれを肯定するために民主主義を口実にする。そうかと思うと、暴力は民主主義ではない、それに反するものだと言い、民主主義をもってそれを説伏(しゃくふく)しようとする。民主主義とはそれほど便利なものか。

── 福田恆存(『日本への遺言』)

ナショナリズムの復権 (ちくま新書)

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アフター・モダニティ―近代日本の思想と批評 (叢書新文明学)

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