満開の下

「穏やかな天気、仕事帰りに夜桜…隅田公園で満開」（読売新聞）
　→　http://www.yomiuri.co.jp/national/20150331-OYT1T50162.html
「暖かさ続く 東京と福岡でサクラ満開に」（NHKニュース）
　→　http://www3.nhk.or.jp/news/html/20150329/k10010031801000.html
「ソメイヨシノ:春らんまん　広島市で満開　／広島」（毎日新聞）
　→　http://mainichi.jp/area/hiroshima/news/m20150331ddlk34040635000c.html
「熊本市で桜満開」（熊本日日新聞）
　→　http://kumanichi.com/news/local/main/20150331004.xhtml
「名古屋で桜満開、平年より４日早く」（日経新聞）
　→　http://www.nikkei.com/article/DGXLASFD30H20_Q5A330C1CN8000/

　そこは桜の森のちょうどまんなかのあたりでした。四方の涯は花にかくれて奥が見えませんでした。日頃のような怖れや不安は消えていました。花の涯から吹きよせる冷めたい風もありません。ただひっそりと、そしてひそひそと、花びらが散りつづけているばかりでした。彼は始めて桜の森の満開の下に坐っていました。いつまでもそこに坐っていることができます。彼はもう帰るところがないのですから。

──　坂口安吾（『桜の森の満開の下』）

桜の森の満開の下 (講談社文芸文庫)