正義の主張者
「『深刻な影響があった』とペルー政府も激怒 『ナスカの地上絵』付近に巨大メッセージ 環境団体の責任追及」(産経新聞)
→ http://www.sankei.com/world/news/141210/wor1412100033-n1.html
ペルーのリマで開かれている気候変動枠組み条約第20回締約国会議(COP20)に合わせ、環境保護団体グリーンピースが9日までに、世界遺産「ナスカの地上絵」の付近で、布で作った文字を並べて気候変動に関する巨大メッセージを伝えた。ペルー文化省は9日、「違法な行動により、深刻な影響があった」とし、地元検察当局に通報。責任者を出国させないよう求めた。
グリーンピースは8日、「変化の時 未来は再生可能」と、布でつくったメッセージを地上絵の近くに置き、COP20に参加する各国の指導者らに行動を呼び掛けた。AP通信によると、グリーンピースの広報担当者は、活動は注意深く行ったと説明した上で、文化省の対応を深刻に受け止めており調査中だと述べた。
「ナスカの地上絵に落書き グリーンピースにペルー政府が法的措置へ【画像】」(ハフィントンポスト)
→ http://www.huffingtonpost.jp/2014/12/10/nazca-lines-greenpeace_n_6299814.html
「グリーンピースがナスカの地上絵に残したメッセージにブチギレたのはペルー政府だけではなかった! 月刊ムー編集長『これはダメだ。そもそも認識が甘い』」(ロケットニュース24)
→ http://rocketnews24.com/2014/12/11/520869/
「グリーンピース、ナスカの地上絵を損傷-ペルー政府は憤慨」(ウォール・ストリート・ジャーナル日本版)
→ http://jp.wsj.com/news/articles/SB12736366776942794087804580330060831957570
望むらくは、今日の正義の主張者が、正義論もまた猥談のごとく人前で大声に語りにくき恥ずべきものと心得られんことを。
自分だけの正義というものはなく、正義はつねに主張のうちにある。相手のため、他人のためと言ったこところで、どうしても人を強制することになる。強制それ自体が悪であるばかりではない。どんな正義もその半面には不正と必然悪をともなってをり、そこには人を益するものがあると同時に人を害するものがあるのだ。
他人にたいする寛容というのは現代的な美徳であるが、昔は独りを慎む礼儀というものがあって、それは主張や表現を事とする文章の世界をも支配していた。たとへばエロティックな事柄を口にする場合、「デカメロン」でも「アラビアン・ナイト」でも、ユーモアやレトリックなしではすまされなかったのである。
現代でも、そしてもっと低級な春本や猥談においてさえ、やはりそれなりに低級な笑いを、この場合は礼儀とまでは言わぬごまかしの煙幕に用いている。望むらくは、今日の正義の主張者が、正義論もまた猥談のごとく人前で大声に語りにくき恥ずべきものと心得られんことを。
- 作者: 福田恒存,中村保男,谷田貝常夫
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 1998/04
- メディア: 文庫
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