NAKAMOTO PERSONAL

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木曜日は運動日

今宵は琴似で走る走る。


「『物忘れ』は若い頃の運動習慣で決まる!」(現代ビジネス)
 → http://gendai.ismedia.jp/articles/-/39477

脳力の低下と運動習慣の関係性とは?

最近の大規模な調査によると、25歳ごろによく体を動かしていた人は、そうでない人と比べて、中年期になっても思考がより活発だという。また心強いことに、たとえ若いときは運動に無関心でも、いまからはじめれば、やはり脳の活性につながるそうだ。

私たちは、たいていは40歳を過ぎたあたりから、自分が忘れっぽくなったり、考えがまとまらないことに気づく。人の名前や単語、あるいはどこに鍵をおいたかをすぐには思い出せない。ミネソタ大学(ミネアポリス)の公衆衛生学教授で、研究論文『物忘れ』の共同執筆者であるデビット・ジェイコブス氏は「私たちはこれを、CRS(Can't Remember Stuff)問題を抱えている、と呼んでいます」と語った。

中年期に起こる、こういった軽い思考力の低下は、人によってはかなり遅れて発生したり、軽症だったりするが、その理由の科学的根拠は完全には解明されてこなかった。もちろん、遺伝がかかわっていることは多くの研究者が認めている。しかしライフスタイルや運動習慣が、どれほどの影響を及ぼしているかについては、これまで明らかになっていない。


認知力に影響を与える若年期の運動習慣

最近、ジェイコブス氏は、アメリカ内外の大学の仲間とともに、「Cardia研究」のために集められた大量のデータを分析した。

「Cardia (Coronary Artery Risk Development in Young Adults=若年成人の冠状動脈疾患発症リスク)」と称したこの研究は、1980年代半ばに、18歳から30歳までの男女数千人を募り、その被験者に対して、コレステロール値や血圧値などを測定する健康テストをおこなった。被験ボランティアの多くが、疲れて走れなくなる限界までトレッドミルの速度を徐々に上げる検査の対象にもなった。彼らが疲労しきるまでの平均時間は10分。ずば抜けて、とまではいかないが、ほとんどがほどほどに健康な状態であった。

それから25年後の現在、43歳から53歳となった当時の数千人の被験者を対象に、もう1度トレッドミルの検査をおこなった。ほとんどの場合、以前よりも大分早い7分以下で脱落したが、何人かは若年期よりも中年期のほうが長いあいだ走れるという結果を出した。

次に、正確な判断や決定が即座に下せるかどうかを測る、記憶力や実行機能についての一連の認識力テストを検査した。被験者は単語のリストを記憶し、文字と色を区別しなければならない。例えば画面に「黄色」という文字が緑色で表示された際は、文字でなくその色を書き込まなければならない。(被験者が20歳のころは、この記憶力テストはおこなわれなかった)

神経学の専門誌である『Neurology』に、先月掲載されたこの試験結果は、注目すべきであると同時に驚くべきものであった。若年期に10分以上走れた運動能力の高い被験者は、共通して、中年になったいまでも、認知テストでもっともよい結果を出した。また、若年期に1分間長く走れた被験者は、たいていは、リストの単語を1個程度多く記憶でき、色と文字の区別でも間違いが1つ少ない結果になった。

もちろん、成績に現われる差異はわずかだが、ジェイコブス氏は、「多くの科学者が正常とみなす脳の加齢に換算すれば、この違いは約1年分に相当する。したがって同年齢よりも言葉を1つ多く記憶している50歳の人は、49歳相当の脳の持ち主とみなされ、この差はその後も開く可能性がある」と述べた。同氏はまた、「別の研究では、中年期の記憶力テストで思い出す単語が1つ多くなるたびに、老後に認知症を発症するリスクがおよそ20%少なくなることも判った」と指摘した。

要するに、中年期における明瞭な思考は、意外にも、若年期の生活習慣と関係しているのだ。「認知力低下の原因は、どうやら数十年前にまで遡るようです」とジェイコブス氏は述べる。


これからはじめても遅くはない

もちろんこれは、20代の初期段階に運動をせず、お気楽、無頓着に過ごしていた人には面白くない話かもしれない。しかし一方で、この2度にわたるテストの間に、エアロビクスで健康を向上させた被験者は、1回目と運動量が同じかまたは低下した被験者に比べて、認知テストの結果も上げている。このことからジャイコブス氏は「ありきたりな言い方ですが、運動をはじめるのに時機が遅すぎるということはありません」と主張した。

今回の研究では、なぜ運動によって知性は高まるのか、という問題についてまでは調査していない。しかしジェイコブス氏は、「Cardia」の研究データと同じ情報を元にしたほかの研究でも、肥満体の若年者の、コレステロール検査の数値や心臓血管の健康指標は悪い。したがって、時がたつにつれて、脳へ向かう血管につまりが生じて、いずれは血流が妨げられ、脳機能に支障が発生する可能性がある、と話す。「この研究からの教訓は、人は一生、動き続ける必要があるということです」と同氏は語った。