NAKAMOTO PERSONAL

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人生の花

「やっぱ、恋愛はほろにがいものなのだよ。それが大人の味なのさ……調査結果」(RBB TODAY)
 → http://www.rbbtoday.com/article/2014/06/21/121100.html

 キリンビールは、20~50代の男女800人に対し、ほろにがさに関する調査を実施。調査の結果、78.8%の人が「人生において、ほろにがい経験も必要」と回答。ほろにがい味は「大人の味」であり、平均で24.1歳頃から好きになるようだ。

 調査ではまず800人に、「今までほろにがい経験をしたことがあるか」を聞いたところ、60.0%があると回答した。ほろにがい経験を持つ480人に、“ほろにがい思い出”について聞いた。“ほろにがい思い出”とは何か聞いたところ、いちばん多くあがったのが恋愛についてだった。「失恋した」、「相手に上手く気持ちが伝えられなかった」など、恋愛でほろにがい経験をした人が多い。また男女800人の86.5%が「人生はほろにがいもの」だと回答した。

 味覚としての“ほろにがさ”について調査したところ、61.9%が「ほろにがい味が好き」と回答。好きな人の79.6%は子供のころは、「ほろにがい味が好きではなかった」と回答した。平均24.1歳ころから、ほろにがい味が好きになる傾向がある。そして89.0%の人が「ほろにがい味は大人の味」だと思っている。

 最も記憶に残る“ほろにがい思い出”
●淡い恋心を抱いた「初恋」が粉砕したとき。(男性、37歳)
●片思いだった女の子が自分に気があることを、ずっと後になって知った。(男性、30歳)
●初恋の人と再会したときに、忘れられていた。(男性、40歳)
●好きな人に甘えたいのに強がってしまった。(女性、39歳)
●幼馴染に好きな人をとられたこと。しかも私に隠れてこそこそ付き合ってた。(女性、36歳)
●好きな人に、片想いの相談されたとき。結局好きと言えずに真剣に相談にのってあげた。(女性、31歳)
●娘に彼氏が出来たとき。ほろ苦い気持ちになり、ほろ苦い酒を飲みたくなった。(男性、50歳)
●いいアイデアを、同僚に先に言われてしまったとき。(男性53歳)
●仲の良かった友人とケンカしたまま卒業してしまったこと。(女性、48歳)

調査概要
●調査対象と回収サンプル数:20~59歳
●男女各年代200人ずつ計800人
●調査地域:全国
●調査方法:インターネット調査
●調査会社の登録モニター活用
●調査期間:6月6日(金)~8日(日)


安吾先生、かく語りき。

 人は恋愛によっても、みたされることはないのである。何度、恋をしたところで、そのつまらなさが分る外には偉くなるということもなさそうだ。むしろその愚劣さによって常に裏切られるばかりであろう。そのくせ、恋なしに、人生は成りたたぬ。所詮人生がバカげたものなのだから、恋愛がバカげていても、恋愛のひけめになるところもない。バカは死ななきゃ治らない、というが、われわれの愚かな一生において、バカは最も尊いものであることも、また、銘記しなければならない。

 人生において、最も人を慰めるものは何か。苦しみ、悲しみ、せつなさ。さすれば、バカを怖れたもうな。苦しみ、悲しみ、切なさによって、いささか、みたされる時はあるだろう。それにすら、みたされぬ魂があるというのか。ああ、孤独。それをいいたもうなかれ。孤独は、人のふるさとだ。恋愛は、人生の花であります。いかに退屈であろうとも、この外に花はない。

── 坂口安吾『恋愛論』

日本文化私観 (講談社文芸文庫―現代日本のエッセイ)

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