NAKAMOTO PERSONAL

空にある星を一つ欲しいと思いませんか? 思わない? そんなら、君と話をしない。

おとなの人というものは、そんなものです。


雪、雪。

 おとなというものは、数字がすきです。新しくできた友だちの話をするとき、おとなの人は、かんじんかなめのことはききません。〈どんな声の人?〉とか、〈どんな遊びが好き?〉とか、〈チョウの採集をする人?〉とかいうようなことは、てんできかずに、〈その人、いくつ?〉とか、〈きょうだいは、なん人いますか〉とか、〈目方はどのくらい?〉とか、〈おとうさんは、どのくらいお金をとっていますか〉とかいうようなことを、きくのです。そして、やっと、どんな人か、わかったつもりになるのです。
 おとなの人たちに〈桃色のレンガでできていて、窓にジェラニュウムの鉢がおいてあって、屋根にハトのいる、きれいな家を見たよ・・・〉といったところで、どうもピンとこないでしょう。おとなたちには〈十万フランの家を見た〉といわなくてはいけないのです。すると、おとなたちは、とんきょうな声をだして、〈なんてりっぱな家だろう〉というのです。

── サン=テグジュペリ『星の王子さま』


おとなの人というものは、そんなものです。わるく思ってはいけません。子どもは、おとなの人を、うんと大目に見てやらなくてはいけないのです。

星の王子さま―オリジナル版

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