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「マヤの世界終末論を否定する壁画が発見」

「マヤの世界終末論を否定する壁画が発見」(ナショナルジオグラフィック
 → http://www.nationalgeographic.co.jp/news/news_article.php?file_id=20120511002&expand#title

 未発掘建造物が数多く残る古代マヤ文明の遺跡シュルトゥンの住居跡で、世界終末論を否定する壁画が発見された。

 王とその従者が鮮やかに描かれているが、何よりも注目すべきは当時の書記官が残した計算表だ。数千年先の未来を予測する目的と考えられ、古代マヤ文明が予言したとされる2012年の世界終末とは完全に食い違っている。

 部屋自体は簡素な造りだが、発見の重要性は極めて高い。マヤ社会の新たな一面が浮き彫りになった格好だ。「同様の壁画は他の地域では見つかっていない」と発掘チームを率いるウィリアム・サトゥルノ氏はナショナルジオグラフィック ニュースに話す。

 シュルトゥンはグアテマラ北部の古代マヤ都市遺跡で、16平方キロほどのジャングルに今回の美術品が眠っていた。

 チームは2010年から調査を開始。ボストン大学の考古学博士課程に在籍していたフランコ・ロッシ氏が盗掘者のトンネルを調査中に、ある学部生が薄い漆喰(しっくい)壁に残るかすかな塗料の痕跡に気付いた。

 2人で1200年前の泥を拭き取り始めると、突如やや赤みのある塗料が露わになったという。「ビル(サトゥルノ氏の愛称)も驚きを隠せない様子だった」とロッシ氏は振り返る。

 2011年には大掛かりな発掘調査を実施。そこでチームが発見した遺構は、古代マヤ文明の書記官の仕事部屋と考えられている。

 ロッシ氏は発掘後にこの部屋に足を踏み入れた。「非常に興味深い。当時の書記官は、この椅子に座って絵文書を記していたようだ」。ただし、実際の絵文書は残っていなかった。

 絵文書は、都市の運命の予測を目的とした高度な計算で埋め尽くされていたと考えられる。壁の数字は「化学の教科書にあるような、元素の周期表に似た表形式で描かれていた」という。

「このような部屋が古典期後期のあらゆるマヤ遺跡に存在していたのは間違いないだろう。それ以前にもあったと思うが、まだ見つかっていない」。

◆通説とは異なる思想が壁画から判明

 盗掘されていたにも関わらず、内部はほぼ完全な状態だったという。「3つの無傷の壁に、絵が残っている。頭と胸に白い円板を着けたオレンジ色の肌の男性は、おそらく書記官本人だ」とサトゥルノ氏は話す。

 書記官は絵筆を握り、青い羽で着飾った王に向けて手を差し出している。細かく描かれているが、人骨を使って壁に取り付けられたカーテンで隠されていたという。 しかし、本当に注目に値する点はもう1つの発見にある。

 調査チームは、象形文字解読の専門家デイビッド・スチュアート氏と考古学者でアーティストのヘザー・ハースト氏に協力を依頼。壁画を解析したところ、いくつかの象形文字をかろうじて確認できた。部屋の東側と北側の壁に沿って描かれ、また彫られている。

 その1つは月の周期を表し、年代の新しいマヤ文明の絵文書にも記された「リング・ナンバー(Ring Number)」もある。惑星の周期の基準日を確立する際の逆算に使用されていた記号法だ。その付近には、主要な暦や惑星の周期と一致する間隔の数字の配列が確認できた。

 計算では約7000年先の日付が示唆されており、2012年で世界が終わるとするマヤ文明の予言を否定する裏付けになる。この人類滅亡説は、マヤ文明で用いられていた“長期暦”が2012年で1つの区切りを迎えることから推測されていた。

 調査チームのリーダー、サトゥルノ氏は声明で次のように述べている。「どんな結末が待っているのかしっかりと見極めたい。マヤ人は自分たちの生活がこのまま無事に続くと信じたかったのだろう。終末論とは完全に異なる考えを持っていたと思う」。

「『2012年人類滅亡』ウソだった? マヤ最古のカレンダー発見」(産経新聞)
 → http://sankei.jp.msn.com/science/news/120511/scn12051118210003-n1.htm