NAKAMOTO PERSONAL

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“無償の愛”

「犬は人間よりも人間に優しい!? 『泣いている人間に対して犬は見返りを求めず平等に慰める』という研究結果」(ロケットニュース24)
 → http://rocketnews24.com/2012/09/15/247741/

見返りを求めずに相手を想い、愛することを意味する “無償の愛” 。親子や恋人間の愛情だけでなく、見ず知らずの誰かへのボランティア精神などを指すこともあるようだが、完璧なまでに見返りを求めないことは人間にとってなかなか難しいことではないだろうか。

だが、犬にとっては当たり前のことのようだ。最新の研究によると、犬は飼い主かどうかに関わらず、泣いている人間に対して本能的に寄り添い癒そうとすることが明らかになった。その際、食べ物やかわいがられることなどの見返りはまったく求めていないという。

英ロンドン大学ゴールドスミス・カレッジのデボラ・カスタンス教授らが、年齢や種類の異なるペットの犬18頭を対象に実験を行い明らかにした。実験は、飼い主や見ず知らずの人間が「泣いているとき」「鼻歌を歌っているとき」「会話をしているとき」の3つの状況において、犬たちがそれぞれどのような反応を示すのか調べるというものだ。

結果、反応を示した犬が多かった順に「泣いているとき」「鼻歌を歌っているとき」となり、「会話をしているとき」に関しては1頭も反応しなかった。また、実験中ほとんどの犬が人間の涙に反応したのだが、泣いている人が飼い主だろうが会ったことのない人物だろうが、犬たちの行動に違いは見られなかったという。

教授は、「泣いている人物に対し、犬たちは寄り添ったり舐めたりしていました。これは、その人物を慰め同情を示した行動だと言えます。鼻歌に対しても反応した犬はいましたが、彼らは単に鼻歌に興味をそそられたのだと考えられます」と説明している。つまり犬たちは、涙に対しては同情の気持ちから、鼻歌に対しては好奇心から反応したということだ。

また、「飼い主だけでなく見ず知らずの人間の涙にも反応したのは、犬たちが見返りを求めていないからです。もしも人間を慰めることでなんらかの報酬を期待する欲求があるのならば、知らない人物は放っておいて普段食事を与えてくれる飼い主だけに寄り添うはずです。しかし、そのような行動はまったく見られませんでした」とのこと。

さらに教授は、今回の結果から「人間を含めた他のどんな種よりも人間に同情し寄り添ってくれるのは犬なのかもしれません」とも語っている。見返りを求めず誰に対しても平等に寄り添って慰めようとする犬。これぞ “無償の愛” なのではないだろうか。

キツネ、曰く、、、

 おれの目から見ると、あんたは、まだ、いまじゃ、ほかの十万もの男の子と、べつに変わりない男の子なのさ。だから、おれは、あんたがいなくなったっていいんだ。あんたもやっぱり、おれがいなくたっていいんだ。あんたの目から見ると、おれは、十万ものキツネとおんなじなんだ。だけど、あんたが、おれを飼いならすと、おれたちは、もう、おたがいに、はなれちゃいられなくなるよ。あんたは、おれにとって、この世でたったひとりのひとになるし、おれは、あんたにとってかけがえのないものになるんだよ・・・

── サン=テグジュペリ『星の王子さま』


星の王子さま―オリジナル版

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