善良というものは、たまらぬものだ。
「自分だけの正義というものはなく、正義はつねに主張のうちにある。相手のため、他人のためと言ったこところで、どうしても人を強制することになる。強制それ自体が悪であるばかりではない。どんな正義もその半面には不正と必然悪をともなってをり、そこには人を益するものがあると同時に人を害するものがあるのだ。」
「『殺す』…クジラ漁の太地町漁協に脅迫状 刃物で『首』切断」(産経新聞)
→ http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/110917/crm11091721170017-n1.htm
鯨類追い込み漁が行われている和歌山県太地町漁協に、反捕鯨団体によるとみられる脅迫状が届いていたことが17日、関係者への取材で分かった。脅迫状には「殺す」などと書かれており、届けを受けた和歌山県警新宮署が脅迫事件として捜査している。
脅迫状は14日に届き、消印は香港となっていた。封書の中にはA4判の紙が2枚あり、日本語と英語で「殺す」と書かれ、インターネットなどの画面を撮影したとみられる写真も同封。写っている漁協職員の首の部分が鋭利な刃物で切られていた。
漁協職員からは「気味が悪くて、不愉快だ」という声が出ており、同署が周辺への警戒を強めている。
鯨を守るために人を殺す。
本末転倒である。
翁に曰く
「善良というものは、たまらぬものだ。危険なものだ。殺せといえば、殺すものだ。」
── 山本夏彦(『何用あって月世界へ』)