NAKAMOTO PERSONAL

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式年遷宮

「【主張】遷宮まで4年 日本人の心確認する機に」(産經新聞
 → http://sankei.jp.msn.com/life/trend/090809/trd0908090242000-n1.htm

 お盆が近づき、ふるさとに帰省する家族連れも少なくないだろう。久しぶりに顔を合わせる祖父母や両親、兄弟姉妹らとの会話が弾むに違いない。慌ただしい日常を離れ、心休まるひとときを楽しんでほしい。
 先祖のお墓に参った後には、鎮守の森を訪ねてはどうだろう。幼友達と、その下で遊んだ木々が、一段と成長して枝を広げているかもしれない。
 神社には、日本人の伝統や知恵がこもっている。はるか縄文の昔から、人々は自然の恵みに感謝しつつ、それが永遠に続くよう、頭を垂れて祈った。神社に対する素朴な信仰は、「自然とともに」という日本人のあり方そのものなのである。
 神社は全国に約8万社あるとされ、その本宗(ほんそう)が「お伊勢さん」、伊勢神宮(三重県伊勢市)である。皇大神宮(こうたいじんぐう)(内宮(ないくう))と豊受(とようけ)大神宮(外宮(げくう))からなる伊勢神宮はいま、4年後に迫った「式年遷宮」の準備に追われている。
 式年遷宮とは、20年ごとに神宮のすべての社殿を造り替え、神宝(しんぽう)や装束の一切を新調してご神体を新宮に移す儀式である。民俗学では、新しく生まれ変わることで神威をパワーアップさせる意味合いがあるという。
 1300年以上昔の持統天皇4(西暦690)年に第1回が行われ、戦国時代に中断したほかは守り続けられ、平成25(2013)年が62回目にあたる。
 今年11月3日(文化の日)には、内宮への入り口・五十鈴川に架かる宇治橋の造替工事が完成し、3代の夫婦による「渡始(わたりはじめ)式」が行われる予定だ。
 その式年遷宮を記念した特別展「伊勢神宮と神々の美術」が9月6日まで、東京・上野の東京国立博物館で開かれている。日本の歴史の中で、伊勢神宮を代表とする全国の神社が果たした役割を改めて確認する展覧会である。
 お伊勢参りのにぎわいを鮮やかな色彩で描いた珍しい絵画「伊勢参詣曼荼羅(さんけいまんだら)」や、普段は神殿の奥深くに鎮座している貴重な神像などが公開されている。これらを見ていると、日本の神々が清らかで、深い精神性をたたえていることが実感できる。
 21世紀は「自然との共生の世紀」ともいわれる。4年後に迫った式年遷宮を、「日本人の心のふるさと」を再確認する大切な機会としたい。


伊勢神宮式年遷宮広報本部 公式ウェブサイト』 http://www.sengu.info/index.html