太宰
「太宰治生誕100年で映画化相次ぐ 『ヴィヨンの妻』『斜陽』など」(産経新聞)
→ http://sankei.jp.msn.com/entertainments/entertainers/081229/tnr0812292111006-n1.htm
来年、生誕100年を迎える太宰治(明治42〜昭和23年)の小説の映画化が相次いでいる。すでに、「ヴィヨンの妻」「斜陽」「パンドラの匣(はこ)」の3作品の製作が進んでおり、来年公開を予定。うち映画「ヴィヨンの妻 桜桃とタンポポ」を製作中の根岸吉太郎監督は「太宰が描いた混とんとした戦後は、不況で良い時代に向かっているとは思えない今の時代と重なる」と話している。
「ヴィヨンの妻」は太宰が自殺直前の昭和22年に発表した自伝的小説。根岸監督のほか、今年9月に亡くなった市川準監督も映画化の準備を進めていた太宰の代表作のひとつだ。
映画ではこの作品をベースに、「思ひ出」「姥捨(うばすて)」など太宰作品のエッセンスを詰め込み「太宰が生きた戦後」の映像化を試みている。10月から東京・成城の東宝スタジオに、昭和20年代前半の東京下町のセットを組み、撮影が行われた。太宰の“分身的存在”として登場する放蕩(ほうとう)者の小説家を浅野忠信が、借金や浮気など夫に振り回されながらもけなげに支える妻を松たか子が演じている。
内面描写の多い太宰作品について、根岸監督は映像化が難しい作品というが、「いつか映画化したかった。作品からは、いつの時代も、生きていくなかで誰しもが心にひっかかり、共感できる部分を見つけることができる」とその魅力を語る。
一方、来年6月に全国公開予定の「斜陽」は、秋原正俊監督にとって「富嶽百景」に次いで2作目となる太宰作品の映画化。
「古典として今も残る小説は普遍的に優れている。太宰作品はその代表的存在。太宰の世界観を新鮮なキャストで映像として現代に甦らたいと思う監督は多いはず」と秋原監督。
メーンキャストには、太宰の墓参りに行くほどの熱心な太宰ファンという佐藤江梨子と、太宰と同じ誕生日で作品にも詳しい温水洋一の俳優2人を抜擢(ばってき)した。
「現場ではそれぞれの太宰に対する熱い思いをぶつけ合いながら撮影できた。映画を見た若い人に改めて太宰の小説に興味を持ってもらえたら」と秋原監督は期待を込めた。
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明日もまた、同じ日が来るのだろう。幸福は一生、来ないのだ。それは、わかっている。けれども、きっと来る、あすは来る、と信じて寝るのがいいのでしょう。
― 太宰治『女生徒』