磨種ナリ
「信仰心に苦痛を和らげる効果…オックスフォード大学の研究結果」(らばQ)
→ http://labaq.com/archives/51105482.html
「信じる者は救われる」という言葉がありますが、これが本当かどうかはさておき、イギリスのオックスフォード大学で変わった実験をし、信仰が苦痛を和らげる効果があることがわかったそうです。
面白いのはその実験方法です。
Telegraphによると、サイエンス・オブ・ザ・マインドという研究で、12人のカトリック信者と、12人の無神論者に、それぞれ処女マリアの絵画を見せ、電気ショックを与えたそうです。
脳をスキャンしながら調査したところ、カトリック信者のほうが、かなりの痛みをブロックしていることがわかったのです。それだけではなく、カトリック信者のほうが痛覚を調節する別の脳の部分が活動していることもわかりました。
実験では、17世紀に描かれたサッソフェッラート(ジョヴァンニ・バッティスタ・サルヴィ)の「祈りの聖母」と、15世紀に描かれたレオナルド・ダ・ヴィンチによる「白貂を抱く貴婦人」(Lady with an Ermine)を見せました。
(サッソフェッラート「祈りの聖母」)(レオナルド・ダ・ヴィンチ「白貂を抱く貴婦人」)
ダ・ヴィンチの絵のほうは宗教色はなく、しかしながら同じように静寂感のあるものが選ばれました。
実験に参加した人は30分間MRIスキャンしながら、どちらか一方の絵を見せられて、4セッションで20回の電気ショックを受けました。
カトリック信者の場合は、聖母マリアの絵を見ると、安心や平穏などを感じられたそうです。ダ・ヴィンチの絵を見たあとよりも12%の痛みが減るとの報告がされています。
スキャナー画面によると前頭葉の右側にランプがつき、痛みの調節をする神経のメカニズムが働きはじめるそうです。無神論者たちの脳の動きにはそれはなかったそうです。
もちろんさらにインパクトの強い画像を利用することによって、信仰のない者でも同じような効果を得られるかもしれないと認めながら、信仰心を強く持つことで痛みを緩和することを発表しました。
「困ったときの神頼み」とも言いますが、病気やケガをしたときに神様にすがるのも本能的に正しい行動なのかもしれません。
「宗教・政治・思想など、ややこしいことを無理やり1行で表現すると…」(らばQ)
→ http://labaq.com/archives/50951059.html
「『神はいない?』偉人たちの無神論的な50の格言」(らばQ)
→ http://labaq.com/archives/50944400.html
いわゆるプラシーボ(偽薬)効果。
しかし、効くものはなんでも利用すればよい。というのがぼくの持論です。
心学の祖、石門心学、石田梅岩も言っています。
「仏老荘の教えも、いわば心を磨く磨種(とぎぐさ)なれば、捨てるべきにもあらず」
仏教も老子も荘子もはたまたキリスト教であろうとも、心に効くものであれば捨てる必要はない、と。
正月は神道で、クリスマスはキリスト教、葬式は仏教と、何かとその曖昧さを悪く言われる、日本人の宗教感覚を再評価すべきではなかろうか。
と、ぼくは何年も言い続けているのですが.....。
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