ラブレター
「城山三郎さんの「ラブレター」見つかる 刊行へ」(朝日新聞)
→ http://www.asahi.com/culture/update/1219/TKY200712190138.html
3月に亡くなった作家の城山三郎さんが、妻容子さんのことを書いた遺稿が見つかり、21日発売の「小説新潮」の1月号に掲載される。若き日の偶然の出会いから、がんで先立たれるまで、かけがえのない伴侶への思いを細やかにつづっている。
謹言実直なイメージで「女性を書けない」と言われたこともある城山さんだが、容子さんのいきいきとした個性が魅力的に描かれる。夫の講演を聞きながら、マンガ(「おそ松くん」のキャラクター)の「シェーッ」のポーズをとってみせたり、夫のペンネームを知らず、新人賞の受賞の知らせを受けて「そんな人いません」と答えたり。無名時代も有名になってからも、変わらぬ信頼を互いに寄せ合える相棒だった。00年に容子さんが亡くなった後、城山さんは出版社の依頼で妻の思い出を書き始めた。生前、「なかなか書きにくくて」ともらしていたが、不在の時間と向き合いながら、ゆっくり書きためていたようだ。
ロシア語で「ヨー」と発音する「ё」の記号のついた原稿やメモが、神奈川県茅ケ崎市の仕事場に残されていた。完成稿ではなかったが、執筆を依頼していた新潮社の編集者楠瀬啓之さんが順番をつけるなどして形を整えた。次女の井上紀子さんも「父が遺(のこ)してくれたもの」と題する文章を寄せている。亡き妻への長いラブレター、『そうか、もう君はいないのか』は、来年1月、本になる予定だ。
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