NAKAMOTO PERSONAL

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折々のうた

大岡信さん『折々のうた』最終回 6762回、惜しむ声」(朝日新聞)
 → http://www.asahi.com/culture/update/0330/021.html

 詩人の大岡信さんによる朝日新聞1面の連載「折々のうた」が31日、最終回を迎える。朝日新聞創刊100周年企画として始まったのが、1979年1月25日。古今の詩歌を縦横に取り上げ、足かけ29年に及んだ長期連載の終了に、「毎朝一番に読む記事だった」「寂しくなる」などと惜しむ声が、全国から寄せられている。

 何度か休載期間をはさみ、最終回が6762回目。約4600首を集めた「万葉集」をはるかに上回った。大岡さんは、はればれとした表情で「とにかくおしまいまで来られて、ほっとしています」。

 「『折々のうた』は短歌、俳句、現代詩から漢詩、歌謡まで、ジャンルの枠を取り払った、日本の詩歌の広場。『台湾万葉集』など、あまり知られていなかった作品に光を当てたことも大きい」と、朝日歌壇選者の歌人、佐佐木幸綱さん。

 大岡さんによると、連載当初はまだファクスがなく、毎日オートバイで原稿を運んだ。このため長期の旅行は見合わすほかなかったという。ファクスの普及で旅行はできるようになったが、今度は重い資料を抱え、毎日宿泊先から入稿するあわただしさ。

 「そんなふうにしながら、よく続いたなと思う」という友人の詩人、谷川俊太郎さんは、「折々のうた」はある時期にアンソロジー(精選集)を「卒業」したとも指摘する。「よい作品を選び出すということから、毎朝、詩の言葉を味わわせてくれることへと、連載の意味がシフトした」

 俳人の中西夕紀さん(53)は02年に自作が取り上げられた。「広い視野をもつ人に認めてもらって、とても励みになった」と語る。

 連載終了のお知らせが26日に出ると、全国の読者から声が寄せられた。岩手県釜石市の主婦、浦田厚子さん(55)は「心からお礼を申し上げたいです。難しいことをやさしく丁寧に解説してくれたのがうれしかった」。

 東京都江戸川区の主婦、五十嵐公子さん(76)は、「一日の初めに真っ先に読んで、元気と幸せをもらっていました」。

 北海道恵庭市の無職、前田貞治さん(79)は「これから寂しくなりますな」と残念がった。

 谷川俊太郎さんも「身近な人が立ち去ってしまうような気持ち」と、連載終了を惜しんだ。


新折々のうた (8) (岩波新書 新赤版 (983))

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