産経vs朝日
「産経抄」(8月17日[木])
→ http://www.sankei.co.jp/news/060817/morning/column.htm
おがらを焚(た)いて迎えた精霊が、送り盆の朝に帰っていった。戦没者の追悼の意を込めて精霊流しをした地方もあった。ただ、静かであるべき今年のお盆はどこか騒がしい。入道雲や蝉(せみ)時雨までが、いつもの年とは違うような気さえする。
▼九段の杜(もり)の「靖国」もそうで、小泉首相の15日参拝で大騒ぎだ。某紙の社説は「こんなにかまびすしい日になったのは、いつからだろうか」と問いかけた。その答えも用意してあって、「小泉首相の靖国神社参拝が一つのきっかけになっているのは間違いない」と非難する。
▼これを小欄は詭弁(きべん)と呼ぶことにしている。「いつから」というなら、昭和60年の終戦記念日にまでさかのぼらねばならないことは某紙自身がよく知っている。火をつけたのは「某紙」こと朝日新聞だったからだ。このことを、いま一度いっておきたい。
▼当時の中曽根首相が戦後40年の区切りに「公式参拝」をした。ところが朝日は、直前の7日付で靖国参拝を「中国が厳しい視線で凝視している」と書いた。これを人民日報が日本国内で反対が起きていると応じると、朝日がこだまのように「アジア人民傷つける」と呼応する。かくて、自虐報道が拡大再生産されていく。
▼戦場に散った人々の御霊(みたま)をなぐさめ、国のために殉じた人々の霊を祀(まつ)るのが靖国神社だ。それが日本メディアからヒントを得たのか、中国が対日圧力の道具に使うようになった。いまや「靖国問題とは中国問題」(『靖国問題と中国』)なのである。
▼いまの中国は、日本の反中感情を意識して、首相参拝批判には抑制ぎみだ。李肇星外相は「小泉首相は日本人民の強い反対を無視した」と首相と日本国民を引き離す。中国の巧妙な外交術に乗せられまい。
「【社説】静寂を取り戻すために ナショナリズムを考える」(15日付 朝日新聞)
→ http://www.asahi.com/paper/editorial20060815.html
8月15日がこんなにかまびすしい日になったのは、いつからだろうか。
あの戦争について考え、戦没者に思いをいたす。平和をかみしめ、二度と戦争を起こしてはならないと誓う。もともとは、そんな静かな日のはずだった。
小泉首相の靖国神社参拝が一つのきっかけになっているのは間違いない。この5年来、15日が迫るにつれて参拝の是非論がメディアで取り上げられ、追悼のあり方や歴史解釈をめぐって論争が繰り広げられる。
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