NAKAMOTO PERSONAL

空にある星を一つ欲しいと思いませんか? 思わない? そんなら、君と話をしない。

堕落のすゝめ

「勉強冷めた日本 米中韓7割超…高校生意識調査」(読売新聞)
 → http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/news/20060302ur02.htm

 日米中韓の4か国の中で、日本の高校生は学校の成績や進学への関心度が最も低いという実態が1日、文部科学省所管の教育研究機関による意識調査で明らかになった。

 米中韓では「勉強ができる生徒」を志向する傾向が強いのに対し、日本の高校生が最もなりたいと思うのは「クラスの人気者」。もっぱら漫画や携帯電話に関心が向けられているという傾向も表れており、“勉強離れ”が際だつ結果となっている。


勉強そっちのけで“クラスの人気者”を目指している日本の子供たちが、なんとも哀れでいじらしい...。



『国家の品格』、数学者の藤原正彦さんのコメント。

一言で言えば、日本の子供はバカだということではないか。


そんな“バカ”に、ぼくは堕落を薦める。
「生きよ、堕ちよ」
本物の“バカ”となるべし。

 堕落自体は悪いことにきまっているが、モトデをかけずにホンモノをつかみだすことはできない。表面の綺麗ごとで真実の代償を求めることは無理であり、血を賭け、肉を賭け、真実の悲鳴を賭けなければならぬ。堕落すべき時には、まっとうに、まっさかさまに堕ちねばならぬ。道義頽廃、混乱せよ。血を流し、毒にまみれよ。先ず地獄の門をくぐって天国へよじ登らねばならない。手と足と二十本の爪を血ににじませ、はぎ落として、じりじりと天国に近づく以外道があろうか。

 堕落自体は常につまらぬものであり、悪であるにすぎないけれども、堕落のもつ性格の一つには孤独という偉大なる人間の実相が厳として存している。すなわち堕落は常に孤独なものであり、他の人々に見すてられ、父母にまで見すてられ、ただみずからに頼る以外に術のない宿命を帯びている。
 善人は気楽なもので、父母兄弟、人間どもの虚しい義理や約束の上に安眠し、社会制度というものに全身を投げかけて平然と死んで行く。だが堕落者は常にそこからハミだして、ただ一人曠野(こうや)を歩いて行くのである。悪徳はつまらぬものであるけれども、孤独という通路は神に通じる道であり、善人なおもて往生をとぐ、いわんや悪人をや、とはこの道だ。キリストが淫売婦にぬかずくのもこの曠野のひとり行く道に対してであり、この道だけが天国に通じているのだ。何万、何億の堕落者は常に天国に到り得ず、むなしく地獄をひとりさまようにしても、この道が天国に通じているということに変わりはない。

―─ 坂口安吾『続堕落論』


国家の品格 (新潮新書)

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