私の理想
1844年の今日、実存主義哲学の先駆け、フリードリヒ・ニーチェが誕生した。
“超人”、“永劫回帰”の思想は、ぼくの精神的な主柱。
アンチクリスト。同情や隣人愛を否定し、超人への道を説いた。同情されるのではなく、同情するのではなく、強く生きること。それが権力への意志であり、超人である。
私の理想は、目障りにならぬような独立性、それとわからぬ静かな誇り、つまり、他人の名誉や喜びと競合せず、嘲弄にも耐えることによって得られる、まったく他人に負い目のない誇りである。このような理想が、私の日常の習慣を高貴なものにせねばならぬ。(『遺された断想』)
・ぼくは他人に同情することで、同時におのれの幸福をおぼえるような憐れみ深い人たちを好まない。彼らはあまりにも羞恥の念に乏しい。たとえぼくが同情するとしても、遠くからそれをしたい。
・ぼくは悩む者を助けた自分の手を洗う。悩む者がその悩みをぼくに見られたとき、ぼくはそのための彼の羞恥を察して、みずから羞しく思ったからだ。それに彼を助けたとき、ぼくは彼の誇りを苛酷に傷つけたのだから。
・いったい君に泣き言を言わせた第一の原因は何だったのか? 誰ひとり君に十分に媚びてくれなかったということだ。そのために君はこうした汚物の中に座り、大げさに泣き立てる理由ができたという訳だ。多くの復習をとげる理由を手に入れたという訳だ!
・ぼくの最大の危険は常に人をいたわること。そして同情することにあった。しかもあらゆる人間は、いたわられ、同情されたがっている。
・善人たちの間で暮らす者は、同情による嘘をつくように教えられる。同情はすべての自由な魂のまわりに、どんよりとした空気を醸し出す。
・残酷なのだろうか? 「倒れる者を、さらに突け!」と言うこのぼくは。現代の者はことごとく倒れる。だがそれを支えようとするだろう! しかし、ぼくはさらにそれを突いてやるのだ!
ツァラトゥストラはこう言った 上 (岩波文庫 青 639-2)
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