「生き延びる力」を養うために
野口さん続き。
「【野口健の直球&曲球】『生き延びる力』を養うために」(産経新聞)
→ http://www.sankei.com/column/news/180920/clm1809200005-n1.html
度重なる豪雨災害に対し「異常気象」という言葉をよく耳にするが、僕の記憶を遡(さかのぼ)っていくと、ヒマラヤでも同じような事が言われ続けてきた。あれは確か1990年代中頃だったか、エベレスト遠征中にベースキャンプで雨が降り、驚かされ、またハエが飛んできた時には「エベレストにハエ!」と世界的ニュースとして大々的に報じられた。当時、異常現象として話題を集めた、これらの出来事は今では普通になっている。
素人的な発想だが、繰り返されるということは、もはや「異常事態」ではなく、「気候が変動」してきているのだろう。つまり、「変わってきたのだ」と。人は経験則で物事を判断したくなる。今夏の豪雨災害の際も被災された高齢の方々から「こんな雨は生まれて初めて」と。「避難勧告が出されたのになぜ、避難しなかったのですか」とマイクを向けられ、「今までこんな被害は起きなかったから大丈夫だと思った」。
今夏の度重なる自然災害は「たまたま集中した」だけのことなのか、それとも「毎年のように繰り返していく」ことになるのか分からないが「災害はやってくるものだ」と心し、備えていた方がいいだろう。災害に強い街づくりも待ったなしだろうし、同時に災害に強い人づくりも必要だろう。まず必要なことは自分の命を守ること。自分の命を守れてこそ人の命を救えるのだ。そして、この国ならば災害規模にもよるが、3日ないし5日を自力で生き延びれば国がなんとかしてくれる。
そこで1つ提案がある。「生き延びる力」を養うためにも自然体験にもっと目を向けてほしい。自然体験はそれこそ「プチピンチ」の連続である。その「プチピンチ」から人々は生命力をつける。確かタイの学校ではボーイスカウトが授業のカリキュラムに含まれている。合宿への参加も義務付けられており、その課程をクリアしないと進級できないとのこと。日本ではボーイスカウト人口が年々減少し続けている。様々な習い事も結構であるが、「勉強できる」ということよりも「生き延びる力」の方が大切ではないだろうか。
何を隠そう、ぼくもボーイスカウト出身。
そなえよつねに。
ボーイスカウトのモットーは"Be prepared"「そなえよつねに」(備えよ、常に)。
備えるのは物ばかりでなく、むしろ、心の準備。
何事にも動じない心の準備を。
そういえば、ガールスカウト出身の小池百合子氏の座右の銘も「そなえよつねに」。
google:小池百合子 そなえよつねに
『ちかい』と『おきて』
『ちかい』
私は、名誉にかけて、次の3条の実行をちかいます。
- 1. 仏(神)と国とに誠を尽くしおきてを守ります。
- 1. いつも、他の人々をたすけます。
- 1. からだを強くし、心をすこやかに、徳を養います。
『おきて』
1. スカウトは誠実である。
2. スカウトは忠節を尽くす。
3. スカウトは人の力になる。
4. スカウトは友誼に厚い。
5. スカウトは礼儀正しい。
6. スカウトは親切である。
7. スカウトは従順である。
8. スカウトは快活である。
9. スカウトは質素である。
10. スカウトは勇敢である。
11. スカウトは純潔である。
12. スカウトはつつしみ深い。
当時の『おきて』は12だが、現在は8つらしい。
『World Organization of the Scout Movement』 http://www.scout.org/
『ボーイスカウト日本連盟』 http://www.scout.or.jp/