NAKAMOTO PERSONAL

空にある星を一つ欲しいと思いませんか? 思わない? そんなら、君と話をしない。

植物状態の感情認識

「植物状態にあっても患者は家族の顔を認識し、感情的反応を示すことが判明:イスラエルの研究」(IRORIO
 → http://irorio.jp/kondotatsuya/20131223/97512/

 先日、植物状態の患者に意識があり、外部の呼びかけに反応している可能性を示唆したケンブリッジ大学の研究をご紹介したが、それを裏付けるような研究結果がまた1つ発表された。今回の研究は、患者の「感情認識」に注目したもの。

イスラエル、テルアビブ大学の研究チームが植物状態(継続1カ月の遷延性植物状態、もしくは3カ月以上の永続性植物状態)にある4人の患者に、家族や友人の写真を見せた場合と、まったく知らない人の写真を見せた場合の脳の活性度をfMRI(機能的磁気共鳴画像法)を用いて調べたところ、すべての写真に対し、脳の顔認識にかかわる領域が活性化し、患者が目にしたものを「顔」だと認識していることがわかった。さらに、家族や親しい友人の写真を見せた場合は顔認識の領域以外に、感情や記憶にかかわる領域も活性化することがわかったのだ。これは写真の人物が誰なのか、患者が認識していること、植物状態にあっても、複雑な視覚情報を登録・分類する能力があることを示唆している。

この反応が無意識のものなのか否かを確認するため、患者に「ご両親の顔を想像してみてください」と口頭で呼びかけたところ、4人うち2人は脳の感情にかかわる領域が活性化し、そのうち1人の女性は、顔認識の領域も活性化した。(興味深いのは、家族の写真にも口頭の呼びかけにも感情的反応を示した患者が2人とも、その後2カ月以内に意識を取り戻している点だ)。

これらの結果は、植物状態にある患者が外部からの情報に反応するだけでなく、その際に生じる感情を認識している可能性があることを示唆しており、研究者たちはこの結果を今後の治療に役立てたいと考えている。

テルアビブ大学の研究結果はオンラインジャーナル『PLoS ONE』に発表された。

「植物状態にある患者は意識があるだけではなく注意を向けている可能性アリとの研究結果」(IRORIO
 → http://irorio.jp/sakiyama/20131207/94131/
「23年間昏睡状態だった男性『ずっと意識があった』と語る」(デジタルマガジン)
 → http://digimaga.net/2009/11/belgian-coma-man-was-awake-for-23-years.html



こういった事はよく聞く話で、文字通り身を捧げる程の自己犠牲の精神が無い限り、安直な正義感で臓器提供の意思表明をすべきでは無いと思うのである。

 脳死者の大半は臓器が摘出される時、血圧と脈拍が急上昇し、のたうち回り始めるという。そのため、「死んだ」はずの脳死者に麻酔をかけなければならない。脳死となって19年も生き続ける青年もいる。「脳が溶けている」のに、彼は母親の方に顔を向け、モーツァルトの音楽を好むという。つまり、脳死者は臓器が切り取られる際、恐怖や激痛を感じている可能性があるということだ。

―― 小松美彦『脳死・臓器移植の本当の話』

脳死・臓器移植の本当の話 (PHP新書)

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